アラジン


私たちが盗賊団を戦闘不能にさせていると、牢屋の方から大きな青い巨人が出てきて、この騒動に幕を下ろした。
赤い髪の女の子がいた隊商、巨人を出した青い髪の男の子と共に捕まった隊商、そして私たちの隊商は知り合いだったらしく、3つの隊商内で宴が行われた。


「あの…」

私たちは一応未成年なので、甘いジュースを口にするだけ。
そんな私たちに話しかけてきたのは、赤い髪の女の子と青い髪の男の子だった。


「あなた達はさっきの…」

「先程はありがとうございました」

「いや、俺達はただバルバッドに行くっていう目的のために盗賊団が邪魔だったからやっただけだ」

「お兄さん達もバルバッドへ行くのかい?」

「うん、そうだよ」

「それじゃあ一緒に行こうよ!」

青い髪の男の子はそう笑顔で私たちに提案した。
私とアヴィは目で会話し、特に異論は無かったので頷いた。


「じゃあ、お供させて貰ってもいいかな?」

「もちろんさ!僕はアラジン!」

「モルジアナです」

「アラジンとモルジアナな、宜しく」

「私はソラ、こっちはアヴィよ」

「ソラおねえさんとアヴィおにいさんだね!」

赤い髪の女の子、強靭な肉体を持ち、身軽な軽装で片方の髪を高く結わえているのがモルジアナ。
青い髪の男の子、笛から青い巨人を出し、その能力は未知数だ、長いたっぷりとした青い髪を三つ編みにし結わえているのがアラジン。
2人とも知り合いだったらしく、あのアジトで会ったのは偶然だということだ。


「ソラおねえさんとアヴィおにいさんは何処から来たんだい?」

「私たち、故郷はないの」

この世界には、心の中で付け加える。
この言葉をどう解釈したのかは分からないが、そっか、と悲しそうにアラジンが笑った。
この様子から見ると、モルジアナと同じような環境だったのかと思い至ったのかも知れない。


「アラジンはどうしてバルバッドへ?」

「会いたい友達がいるのさ!」

「そうなんだ、モルジアナは?」

「私は故郷に帰るために…」

「そうなのか、また幼いのに砂漠を越えるなんてすげぇな」

2人とも、やはり目的があってバルバッドへ向かうらしい。
こんな幼いのに、とアヴィはアラジンとモルジアナに感心を示す。
だが、それは世界が違うため、凄いと思うのかも知れないと心の中で小さく思った。
私たちの世界観を押し付けるつもりは無いが、奴隷などという卑劣な呼び名など、あってはいけないと、モルジアナの白く細い足首にあるアザをみて思う。
あれはきっと、奴隷がつけていた械の後なのではないだろうか。
そう思うと、少し胸が傷んだ。


「…ソラおねえさん」

「なに?」

「ソラおねえさんのルフは、とても綺麗で優しい色をしてるね」

「え?」

アラジンが優しく、だが何処か年齢にそぐわない笑顔でそう口にした。
アラジンにルフが見えていること、私には皆同じような白に見えるのに、アラジンには違って見えていること、年齢にそぐわない笑顔に、全てに驚き、言葉を失った。
アラジンは次は年齢相当の笑顔を見せ、宴の中心へと掛けていった。
アラジン、あの子は一体…。



*2015/11/23


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