「ユウマンジュってぼったくり温泉覚えてるでしょ?」
「ぼったくりは失礼ですよ…」
「だが、本当の事だからな」
「気持ち良いけど、頻繁には行けない場所だしなぁ」
「お前の場合は覗きも楽しめて一石二鳥みたいなものだろう」
「‘アンタ’には縁のない話だよねぇ?」

「…続き喋らせてくれない?」

かつての自分達が好き勝手に間を割いて話を続けているところに横槍を入れるのも奇妙なものだ、などと考えながらレイヴンが再び語りだす。

「あそこの周りをぶらついてたら、美味そうなキノコがあったわけよ」
「何となく想像はつきました。拾い食いはダメですよ!!」
「で、食ったら腹が痛くなってトイレに駆け込んで…」
「腹下してるんじゃないですか!」
「そしたら、なんか分裂しちゃいましたとさ」



――そんなアホみたいな話、信じられる訳が…。



一通り(というよりも、だいぶかいつまんで説明されたが)話を聞いたアルエは案の定、そんな事を思っていた。

「まー、信じられないかもしれないけど、分裂しちゃったことは事実だし?」
「取り敢えず行くところがないので、暫くアルエのところで世話になろうかと思っているのだが」
「やっぱ、それ、まずいかねぇ?」


(そんな事を言われても…)



――自分の家に4人がのびのびと生活出来るスペースはありません。



だが、ここで断っても意地でもついてくるのだろうと3人を見渡しながら思うアルエであった。


(シュヴァーンさんなら、何でもそつなくこなしてくれそうだから助かるかな?)


残りの二人が問題を起こしたりするのはまた別のお話。



拾い食いは命取り

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