今欲しいものと言えば、アルエしか思い付かないわけだが、言ったら言ったでいつもと変わらない流れになるような気がしてならない。


――そうだ。


「じゃあ、一つだけ」
「何ですか?…私と言う選択肢は無視しますからね?」


(それは最初に思ったけどね)


自分の考えが筒抜けになっていることに、レイヴンは苦笑する。

「違うわよ、アルエちゃんが作ったサバ味噌が食べたい」
「え?」


――意外にまともな返事が返ってきて、ちょっと驚いたかな。


アルエが返事をしてくれないので、目の前で手を振り、注意を此方に向けさせる。

「…だめ?」
「だ、だめじゃないです、頑張ります」
「そ、お願いね」

にこりと笑み、後ろ手に振りながら部屋へ戻るレイヴンを見送ってから、アルエは台所に篭り、作業に取り掛かる。



プレゼント候補は彼女の…

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