「…とまあ、入れ替わっちゃったんで、其処んとこ御了承下さいねー、みたいなね」
「アルエの声なのに、おっさん口調か…」

大分かいつまんで、自分らの身に起きたことを皆に報告するレイヴン。
周りの反応も些かよろしくない。寧ろ、此れからどう接したら良いかわからないのだろう。

特にレイヴンの身体になってしまったアルエなんかは口調が礼儀正しいものだから、それをレイヴンの声音で吐き出されるのだ。
可笑しくないわけがない。
現にユーリとカロルが先程から肩を震わせながら笑いを堪えている。

そんな二人を見て、アルエは溜め息をせざるを得なかった。

「どうしよ」
「乙女のピンチってやつ?…あだっ」
「どうしたら良いんですかー」
「知らないわよって、おっさんの顔で泣かないの、良い男が台無しになるじゃないの!」
「それ、自分が言いますか?」
「えー?だめ?」
「や、そう言うわけじゃ――!!」

言葉の途中で詰まらせてしまった。


――と、トイレ行きたい…。


「どうしたよ?」

訝しげにアルエを見上げるレイヴン。
レイヴンが見上げると言うのもあまり適切な表現ではないかもしれないが。

「と、トイレ…」
「行ってきなって」


――や、そう簡単に言いますけどね!?


男の人のトイレをする所を体験なんてしたことがないからどうすれば良いのかわからない。

「漏らすよ?それ、一張羅だから汚したらすっぽんぽんで過ごさなきゃなんないよ?」
「私の声ですっぽんぽんなんて言わない!」
「俺の声なら良いんかい…」
「好きで言ったわけじゃ――あー!」
「だから、漏らすよって」


「…どうしたら良いかわからないんです」
「…そりゃそうか」

じゃー、ついてきなさい、とアルエを引っ張りながらトイレへと向かおうとする。

「ちょ、ちょっと!?」
「おっさんが手伝ってやるから、ほら」
「ほら、じゃなくて!どう手伝うんです!しかも私の身体で!」
「なーいしょ」
「レイヴンさんー!?」



まだまだ受難は続きそうである。



Mit Anderung des Korper3

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