「レイヴンさん、社会科担当って言ってましたけど」
「そーよ、それがどうかした?」
「物理に異動、みたいですよ?」
「えー!?俺様物理嫌いなのに!何で物理なのよ!」
「私に言われても…」
「ちょっくら、抗議してくるわ」
「えっ!?ちょっ!」

言うが早いか、レイヴンは何処かに走り去ってしまった。
抗議すると言っていたから、恐らく理事長室に向かったのだろう。




「わっ!レイヴンさん、どうしたのですか、それ…」

数分後、右瞼の上に大きなたんこぶを作ったレイヴンが、ふらふらと廊下を歩いていた。
回りの生徒もその姿に引いているのか、近寄らない。

「あー、アルエちゃん。これねぇ…」

はぁ、と溜め息を吐く。

「アレクセイにふざけるな、理事長命令だ。なんつってぶん殴られたの」
「あーあ…」
「物理なんて何教えりゃ良いのよ。質量保存の法則なんかで良いわけ?つーか、物理のテストで赤点以上取ったことないのにどうしろっつーのよ」

ぐちぐちと文句を垂れるレイヴン。
段々陰険なオーラを纏っていくその様は、顔面に負った怪我のせいで尚更消極的なイメージを醸し出していた。


――私にはどうすることも…。



(レイヴンが仕事放棄するまであと5分)



続・せんせいごっこ

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