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お礼小説 // レザード夢
私と貴方は幼なじみ。
でも、頭の良さは貴方に敵う訳がなく。
私はずっと貴方の背中を見ている事しか出来ない。
「どうしたのですか。ぼんやりとして」
ふと、意識を戻すと目の前にレザードがいた。
「えっ。う、ううん。何でもない」
明るくあしらってみる。
彼は心配するような顔をして、そうですか。
と、呟いた。
私が悩んでいるのは、
最も貴方の近くにいるのに、
最も貴方が遠くにいるように感じてしまう事だよ…。
好きだって、言いたいのに、
見えない、越えられない壁が、私と貴方の間に立ち塞がっているから――。
もっと近くで、貴方を感じたいのに。
「レザード」
「何ですか?」
彼女は躊躇い、顔を俯かせた。
レザードは彼女の頭をポンポンと軽く叩いた。
そして、彼女にだけ聞こえる様に囁く。
それを聞いた瞬間、彼女は驚いた表情でレザードを見上げていた。
レザードは満足そうに笑うと、数冊の魔術書を抱え、立ち去った。
彼女は未だに茫然としている。
―言わないと、
分かる物も分からないでしょう?―