"もっと"

あれから13年の月日が流れました。大根を落として大泣きした少女と、そんな少女に気づかずに先に行ってしまった少年を、みなさんは覚えていますか?2人は高校生になっていました。ご両親に2人のことを聞くと、東京体育館に2人ともいるそうです。

「ぼくとーー!!ナイスキー!!」

スタッフ達が体育館へと足を踏み入れると、光太郎くんの苗字が聞こえてきました。

「へいへいへーーい!!」

高らかに聞こえてくる声。視線を其方に向けると、輝く笑顔がありました。おわかりでしょうか?この子が、光太郎くんです。光太郎くんは、あれからバレーボールをはじめて頭角を現し、
都内の強豪校である梟谷学園高校の主将兼エースとして、大活躍していました。
 対する名前ちゃんは……

「光太郎くーーん!!頑張ってー!!」

観客席から聞こえてきた声援。その声は、ちょっぴり小さくて、周りにかき消されてしまいそうです。ですが、光太郎くんは、しっかり拾っていました。

「名前――!!見てろよーー!!」
「うんっ」

名前ちゃんも、光太郎くんと同じく梟谷学園高校に進学し、そこで男子バレー部のマネージャーを務めています。マネージャーの人数の関係で、今回は観客席で応援となったとか。

<<それにしても、格好良くなったなあ!>>
<<名前ちゃんは、とっても美人さんになったねえ…>>







光太郎くんは、今では、全国で5本指に入ると言われるスパイカーなんだそうです。そんな光太郎くんを、いつも影で支えているのは名前ちゃんでした。

「ご、ごうだろうぐっ、お、おづかれざまでしたっ」
「あーー!もう、泣くなよー!!」

梟谷学園高校は、惜しくも全国大会準優勝。あの頃のように泣きじゃくる名前ちゃん。でも、光太郎くんは、あの頃と違っていました。

__ほんとうにごめええええん!!

あの頃は謝るばかりで、泣きじゃくるなまえちゃんをオロオロしながら見ていた光太郎くん。ですが、今回は意を決したような表情で、名前ちゃんを抱き寄せます。

「名前、本当にありがとう!俺、もっと強くなるよ!!」
「うんっ」
「だから、名前。ずっと、これからも俺のことみててね」
「うんっ!」

背丈もかなり伸びました。鍛えられた筋肉は、努力の証でしょう。あの後、我々は、光太郎くんがプロの道へと進むことに決めたという話を耳にしました。好奇心で何事にもまっすぐな少年は、とても頼もしい青年へと成長を遂げていました。
 名前ちゃんは、そんな光太郎くんを支え続けるのでしょう。我々は、これからも光太郎くんと名前ちゃんのことを応援し続けます。あの頃のように。泣いた分だけ、いっぱいいっぱい強くなってくださいね。



20220417







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