私だけの呼び方

あれから14年の月日が流れました。再び京都の地を訪れると、なんと、そこに2人はいませんでした。そんな2人は19歳。大学生になっていました。

<<上京したのかな?>>

名前ちゃんと達人くんのご両親に2人のことを尋ねると、2人とも、今は三門市というところにいるということです。三門市と聞いて、ハッとなる人もいるのではないでしょうか。4年半前に近界民と呼ばれるモンスターに襲われ、壊滅状態になったあの町です。

<<どうしてそんなところに…??>>

我々の疑問に、ご両親は胸を張って応えてくれました。







「たつひとー!お疲れ様」
「……っ!なまえちゃん!?来てくれたん?」
「いや、行く言うたやん。なに寝ぼけてんの?」

2人はボーダーと呼ばれる近界民から街の平和を守られるためにつくられた組織の一員になっていました。きっかけは、達人くんがスカウトされたからだそうです。はじめは、達人くん1人が三門市に上京してきていたそうですが、大学進学を機に、追いかけるように名前ちゃんもだったそうです。

<<行動力が恐ろしいな!?>>

 達人くんは、主力部隊であるB級に所属し、そこで隊長をしているそうです。隊員としての腕も素晴らしく、戦闘でもかなり人々に信頼されているようで、スカウトした人によれば、「私の目に狂いはなかった!」とのことでした。なんだか、それを聞いて、我々も誇らしいです。
 対する名前ちゃんは、三門大学の看護学部に在学し、ボーダーにある医務室でアルバイトをしているそうです。残念ながら隊員としての才能には恵まれなかったそうですが、とってもポジティブな名前ちゃん。「隊員が無理なら、なんか別な分野で活躍したるわ!!」と執念を燃やしたそうな。それから、成績をかなり伸ばしていき、看護師を志しているとのことですから、驚きです。

<<すごいなー>>

「今日は、夜から防衛任務やっけ?」
「おん。このイコさんに任せとき」
「別にトリオン体なんやから心配なんかしとらんけど。ってか、誰に話しとん?」

相変わらず、カメラを見つけるのが上手いこと。呆れたように笑う名前ちゃんも、あの頃と何も変わっておりません。

「はいはい。頑張れ!生駒隊長!」
「待って!名前ちゃんは、そう呼んだらあかんやろ!」
「えー??」

イカとの区別はつくようになったようですね。

<<当たり前でしょ!?19歳にもなって、わからなかったら大事だ!!>>
<<特権も変わってないんだ?>>

「怪我したら許さんからな、”たっちゃん”」
「……!!もっかい!!なあ、名前ちゃん、もっかい言うて?」
「いやや。もう2度と言わへん」
「あかーーーーーーーーーん!!!」
「うっさいわ!!」
「せやけど、名前ちゃん!いつか、名前ちゃんもイコさんなるんやで?な?」
「…っ…!!?な、なな、なんやねん急に!なんで、こういうとこでそういうこというん!?ありえへん!!」

__たっちゃんて、呼んでいいんは、なまえだけやろ??

「待ってや、名前ちゃーーーーーーん!!」



20220406




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