自慢の純白の花嫁(姉)
兵庫県にある、とある結婚式場。そこで、我々が出会った小さな女の子が結婚式を挙げるという情報を耳にしました。みなさんは、覚えているでしょうか。20年前。双子の弟2人を引き連れて、おつかいに出かけた小さな女の子のことを。その子の当時の将来の夢は"花嫁さん"でした。
「姉ちゃんー!!めっちゃ綺麗や!!」
「姉ちゃんー!!おめでとう!!幸せにしてもらうんやで!!」
「お前ら!!新郎より先に見る奴があるかい!!」
純白のウエディングドレスに身を包んだ花嫁さんが、嬉しそうに双子の男性とお友達と話している光景が目に入りました。皆さん、わかるでしょうか?この方が名前ちゃんです。そして、金髪の彼は侑くん。宮侑と聞いてピンと来る方もいることでしょうが、バレーボール選手として活躍する宮侑選手です。
<<あつむくん……!そんな大物になって!!>>
そして、黒髪の方は治くんで。おにぎり宮というお店を開いて、店主として活躍しています。全国へと店舗を広げようと頑張っているとか。そして、そんなおにぎり宮で、欠かせない大事なお米。それを生産している農家の方が、名前ちゃんの旦那さんになる方だそうです。"ちゃんと"と名前がついたお米を、みなさんはご存知でしょうか?よろしければ、是非お買い求めくださいね!
<<もちろん、買いますー!!>>
「ありがとね。侑も治も。あと、尾白も」
「「ねえちゃんー!!」」
「だあ!やかましいっちゅーねん!」
「ふふっ。今日くらいはええんとちゃう?」
名前ちゃんは、中3の時に進路でとても悩んだそうです。お姉ちゃん大好きな双子たち。もしかしたら、自分が選んだ高校に着いてくる可能性があるんじゃないかと。だから、高校までは侑くんと治くんのためになるところを選びました。
侑くんと治くんは中学時代からバレーボール界では、ちょっぴり有名な宮双子として名を馳せていました。侑くんは、高校2年生でU19に選ばれても居ます。だから、男子バレーボールが全国屈指の強さを誇る稲荷崎を進学先に選んだそうです。そこが、将来の伴侶とも出会うことになった稲荷崎高校です。
「お前は、いっつも双子双子やな」
「なんそれ」
「信介が寂しがるで?」
「信介はそんな奴とちゃうやろ」
「まあ、信介くらいの奴じゃないと、あいつら認めんやろうな」
「ふふっ、そうやろか」
またしても、高3で進路の壁が立ちはだかった名前ちゃん。その時に、侑くんはバレーボール選手になりたい。治くんは飯の仕事がしたい。2人の歩む道も別れようとしていました。そんな時に、旦那となる方に言われたそうです。
「名前のしたいようにすればええ」
「……は?」
「名前がやりたいことやるんが、皆1番幸せやから」
その言葉で、更に悩むことにもなった名前ちゃん。だけど、出した答えは1つでした。
「うちの大好きな人らが、しんどいときに手を差し伸べる存在になりたかってん」
侑くんが怪我をした時。治くんが疲れた時。旦那さんがしんどい時。安定した職で、怪我や病気をした人を助けられるような存在。
「栄養士とも悩んだんやけどな。それは極めんでも、治が身につけていくかなと思ってな」
休みの日は、旦那さんの農業の手伝いや治くんのお店を手伝うという名前ちゃん。侑くんが帰省しているときは、体のメンテナンスや相談にも乗ってあげていると言います。いつまで経っても自慢のお姉ちゃんでありつづける姿は、あの頃と何も変わっていませんでした。
「まあ、医者になれたらなったんやけどなー。そこまで、頭は良くなかったわ」
「優等生やった奴が、何を言いよる」
「ふふっ」
小さい頃の夢は"花嫁さん"
そして、高校時代に見つけた夢は"理学療法士"
2つの夢を叶えた名前ちゃんは、これからも大好きな人たちを守っていくことでしょう。
そして、世界の場へと活躍を広げようとする侑くん。
美味しい物を作って、みんなを笑顔にしていく治くん。
3人が歩む道は別々になりましたが、それでも繋がっているのだということが嬉しくなりました。これから3人が歩む人生が、実りのあるものになることを願っています。
Congratulations on your wedding!!
20210630