星になった人とピエロ -150214- | ナノ
星になった人とピエロ


星になったあのひとの輝きを瞳にいれぬまま 
嘘と悲哀で塗り固めただけのシアター


埃の底に埋もれたコンパス
慕うこころが嵐に呑まれぬように
滲んだ星を錯覚としよう
なみだは魔法になりませんから
培った称号を盾にして
たしかな形で逢えるまでの十字架

あなたという名の宝石と聖櫃
望まぬ引き幕を裂いて
ひたむきな孤独に満たされたふり
透明な豪雨で溢れかえる胸の奥
ノイズだらけのリアル

輝ける花につきまとう儚さ
額には未だ飾れぬほほえみ
やがて千切れてしまう輪ならば
記憶の底へと旅をしたい
おしまいをしんじたときがおしまい

日蔭で演じるセルフパロディ
途轍などないひとりの歩み
みづから堕つるは果てなき虚妄
逃げ水とおなじくしてまぼろし

いびつに築いた安らぎの檻
憐察の眼をすりぬけて笑らう
温もりの失せた仕舞いの夜に
まじないのピースで繋げたパズル
まあたらしい棲み家では凍えるだけ

うつしみと黄泉の架け橋など
削げ落ちた時の淵を渡りゆく
囚われのジャム・トゥモロウ
引き伸ばされた刹那のように
明けない夜からの帰り路がわからない

悼みに捧げる筈だった祈りが泣いている

でたらめの現実を欺きながら
塗り固めて、剥がれぬように
理屈でなにが救われるものか
過日と育てるけなげな虚構
たったひとつの虚数を求めて
眼の奥の熱はともさない

助けを求めることばも棄てて

だれもかれもが導けぬまま
決して叶うことのないレジューム
残されたのは春の潰えた極寒ばかり
しじまに融ける記憶のゆくえ
青錆びた涙が褪せれば終幕

魂がめぐりめぐれば他人

あなたとの想い出を守り抜いた果てに


 The end.


Thank you:慶さま
request:「ピエロとその仲間たち」
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