戦 士 と 待 ち 人
おまえを守れる力をさがしていた。
そのせいでおまえは泣いてしまうのに。
王冠を捨てた代わりの夢
瞬くあいだに導かれた
描いたのはどんな光だったか
おとぎ話の結末はどちらがいい
真冬の庭で頬笑みあった
もうとっくにもどれない
裂傷した無愛想なおもざし
流謫のさきが地獄であろうと
血潮の世界を彷徨う
かならず帰るととなえた魔法
雷鳴のように引裂くものは
おんなじしあわせをみてた
咲いたらやわらかな陽だまりの下で
がらんどうの深き闇
静かな別離が忍び寄る
てのひらのたよりない熱
いつから救われていたのだろう
たくさんの光景が溢れてく
染めあげたのに破れた
のどかさに背いた踵
せめてものさいわいをあの場所に
痛そうと撫でた優しいいのち
できかけていた約束
遅くなったと云えたなら
窓越しに湛えた憂い
永劫の笑みを胸に抱く
放しがたいのに離した訳を
失くしものの轍
いつかはいつも鮮やかなまま
照り映える春を待ち侘びた
垂づるあとの芽と蕾
またふたりでいられる路を
疼いた記憶を慰めた夜
野の花のつよさをしんじるか
にどめをゆるしてくれたおまえに
おしまい