(TOX2フライングルドガー夢)






世界を壊す、それは星丸々一つの命を背負うということなのだろう

私はまだ精霊としては若い方だし、まぁなったばかりなのであまり偉そうなことは言えないが。

だけど



「ルドガー」



彼のクルスニクの名を持つ青年の名を呟く。

その青年はというと、私がいる場所から何mか離れた場所を幼い少女と歩いている。

銀色の髪に黒色のメッシュを入れ、青色のシャツと黒のズボンを着、首元は黄色のネクタイで閉めている。

亜麻色の髪を持ちミントグリーンのワンピース、紺色のズボンを着、桃色の上着を羽織ったその少女と仲良さげに喋っている青年は、旗から見れば仲のいい兄妹…むしろ親子に見えるだろう。

誰が見ても、分子世界を破壊するクランスピア社のエージェントには到底見えない。

はぁ、とため息をひとつつく。


一年前のあの日から、私は彼らから離れこの青年と共にいる。

飛ばされた、と言うべきなのだろうか、何かに引き寄せられるように、私は一年前この青年の元へ現れた。

優しいのかお人好しなのかそれともただの甘ちゃんなのか、彼は私の突拍子のない話を信じ、側にいることを許してくれたのだ。

それ以降、私はずっと彼の側で過ごしてきた。

この世界はまだ精霊として生身の体の私には些か過ごしにくいが、嘗ての仲間たちが頑張っているのか、最近は息苦しいことも少しずつ減ってきたように思う。

仲間の活躍を肌で感じ喜んでいたら、これだ。

今思えばあの時、私が無理にでも彼を止めればよかったのかも知れない。

そうすればルドガーは20歳の若さで世界を破壊しその命と恨みを背負うことになってしまうことは無かったし、まだ平凡な生活を送れたのかも知れないのに。

…済んだことを悔やんでも仕方ないとはわかってはいる。

だがどうしても、彼の此れからを考えると、そう思わずにはいれないのだ。

ぐっと実体化している自分の手を強く握る。

クランスピア社が私と同じ大精霊クロノスによって産み出された分子世界を破壊するはわからなくもない。

だが、ルドガー達に危害が加われば…


そう思っていると、私の配下とも言える精霊が気遣わしげにこちらを見た。

それに大丈夫と呟くと腕の力を抜き、そっと目をつむる。と同時に、閉じた視界が暗くなった。

目を開けると、そこにはこちらを心配そうに見る青年、ルドガーが。


「どうした?アリアス」


疲れたなら休むか?

そういった青年に苦笑しながら、同じように私の近くに来て心配そうにこちらを見ている少女…エルの頭を撫でた


「私は精霊だ、といっただろうルドガー。精霊が疲労することはないぞ」

さ、先を急ぐんだろう?といって歩き出すと、ルドガーはため息をはき、エルはまだ心配そうにしながらも、足を進め私に追い付いた。





歩きながらにそっと空を見上げる

精霊の身である私が祈ることなんで可笑しいと思う

だが、今だけ祈らせてくれないか

どうか、あの甘くてお人好しな青年の心が壊れないでいてくれますように




―――――どうか、共に見守ってくれないか


ミラ=マクスウェル、私の同胞であり、親友よ




後書き

TOX2プレイしたら書こうと思っている長編設定で短編。

分子世界を壊すってことは、その世界にすむ何十億ともいえる人の命も背負うってことですよね

その命の重さを一身でルドガーは背負うことになるのかな、と考えると考えると、凄く辛い立場なんだなと思います

そんなことを思っていたら出来た短編だったり


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