私の仕事は朝早くから始まる。
朝5時には起床、お屋敷から配給されたロングスカートのメイド服を着て身だしなみを整えて髪をとかし高く結い上げる、ここまでで大体10分。
その後庭へ赴き花壇の手入れと新しく持ってきた花の種を植える。この花がさくのはきっとあの方が成長して帰って来るときだろう。
といってもあの方が成長するあの時はまだ数年先…まだ未来の話だが。
花を植えた際メイド服に付いた砂をはらい落とし、一息ついてポケットの中にある銀でできた懐中時計で時間をみる。
現在5時25分…少し時間がかかってしまったが…まぁ間に合うだろう。
取りあえずはメイド達が起きているか確認して、それをメイド長に報告。今日もご苦労様と言われぺこりと一回だけ一礼する。
その後メイド長と執事長によって今日のそれぞれの予定が知らされる、…といっても、私は基本仕事は固定されているのだが。
それでは今日も頑張って行きましょう。とメイド長達がいうと散り散りになるメイドと執事達。
私も仕事へ向かおうとするとメイド長に呼び止められ首を傾げた。
「アリアス副メイド長、今日は新しいメイドの子がくるから来たら仕事終わってからでいいから軽く挨拶をしておいて」
「新しいメイド…ですか」
わかりました。そう返事すると呼び止めてごめんなさい、早くあの方を起こしてきなさいなと言われ慌てて二階へ歩いていく。
コンコンコンと三回扉をノックすると微かに聞こえる布がこすれた音。
だがそれも一瞬、すぐに扉の向こうから小さく寝息が聞こえため息を吐きつつ苦笑した。
さて、ちょうど良いしあのかたとは誰か?という問いにお答えしようか。
「エミリオ様、朝でございますよ。」
ヒューゴ邸の主人のご子息である、エミリオ・ジルクリスト様だ。
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