「…そう、今日も来れそうにないのね」

《ごめんな…》

「謝る必要なんて無いでしょうに…仕事、頑張ってね」

《ああ》


愛してるぜ、アリアス。その言葉で締め切られる電話はもう何回目だろう?

受話器を戻しながらふと考えた。

確か…今月に入ってもう十回目だ。

別に彼を手放したくない訳ではないが、こうも帰ってこれないばかり言われると自分は女として魅力がないのかと疑問に思ってしまう。

確かに今時の服装よりちょっとずれた…といっても特別変な服装ではないが…悪く言えば地味目な服装だしスタイルもあまり良くはないが。

…今思えば彼は私と何故付き合おうと思ったのか疑問に思う。

私も彼を特別好きなわけではないし…、何故同棲をしているか聞かれても返答にこまってしまうかもしれない。

しいて理由を上げるなら彼が告白してきたから…だろうか。

あの時の私は回りに気押されて彼氏を欲しがっていたからなぁ…所謂若気の至りというやつだったのかもしれない。

過去の私に会えるなら会って殴りたいぐらいだ。この考えなしが!って叫びながら。

なんて、過ぎたことを言ってもしょうがないのだけれど。



「…自分の分だけご飯作って正解だったかもね。」

万が一の為作っておいサンドイッチをラップにくるみ冷蔵庫に入れ、リビングのソファーに寝っ転がる。

見える白い天井と同時に思いだすは学生時代に付き合っていた彼のこと。

彼が外国に留学して、その二年後私が高校卒業してから早五年。

彼と別れてから、もう五年。






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