協力してほしい。相川にそう頼まれたとき、多少なりとも面食らった記憶がある。自分よりも年上で、かつ頼りになる存在の彼女に、よもや頼みごとをされる機会がめぐってくるとは。驚きながらも事情を聞けば、木佐先輩のことを好きな少年の手助けをしてほしいとのこと。一瞬は悩んだ。優しくて大好きな先輩を、僅かとはいえ騙すことになる事実。それは酷く心苦しいことには違いなく。
けれどこの数ヶ月、先輩が妙に楽しそうに嬉しそうに毎日を過ごしていて。なのにここ数日元気がないように見えたのは、この少年が原因なのかと思い当たった。好きな人を追いかけるその少年の姿があんまりにも自分に似ていたから、頷くしか他はなかった。
追いかけて、追いかけて。追いかけた先にその少年が何を手にするかなんて俺は知らない。
ただ、それが少しでも自分が手に入れたものと等しいことを切望する。
好きな人に好きになってもらえる幸福だとか、あらぬ疑いをかけられる人生初の嫉妬だとか。
『問題編(元閑話休題3)』
彼は尋ねた。あの人は誰?
彼は答えた。あの人は知り合いです。
彼は尋ねた。あの人は誰?
彼は答えた。あの人は知り合いの知り合いです。
彼は尋ねた。あの人は誰?
あんまりにも彼が質問を続けるものだから、彼はとうとう困ってしまって何故そんなに自分に尋ねるものかと幼馴染の彼女に聞いた。
彼女は答えた。それはきっと嫉妬です。そんなことも分からないなんて、変な律っちゃん。
告げて彼女は微笑んだ。
彼=嵯峨&律
あの人=相川&雪名
彼女=杏
「幸せ」が作れるものだと言うのなら。喜んで作ってみせましょう。一人ではなく、皆で。
みんなで幸せにならなくちゃ!
response from T.Y
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