本日、晴天。いつもよりあたたかい。小春日和ってヤツだろうか。これなら洗濯物も乾きそうだ。
よし!と1人頷き、洗濯物を干し始める。今日はそんなに冷たくなくて干しやすい。寒い日の洗濯物は億劫だ。冷たすぎて、指が骨まで痛くなる。
トン、と背後で音がした。ここは二階だ。きっとカラスかなんかだろう。洗濯物に、排泄物を付けられたらたまらない。追い払おうと振り向いて絶句。
猫みみ付けた小さな女の子が、いた。ベランダの鉄格子に座っている。ツッコミどころが、満載すぎる。どこからツッコめばいいんだ。猫みみか?不法侵入か?それとも侵入経路か?誰か教えてくれ。
女の子が、足をぶらぶらさせ始める。それにハッとする。まずは、この娘を鉄格子から降ろそう。
「お嬢ちゃん、そこは危ないから降りようか。ほら、おいで」
両腕を広げて近づく。女の子は俺を一瞥し、唾を吐いた。


「寄るな、ロリコン」


へ?えっ?俺の聞き間違えだろうか。むしろ、聞き間違えであってくれ。頼むから。俺は懇願を込めて、もう一度言った。女の子は顔をしかめ、それに応える。


「聞こえなかったのか。よるな、ロリコン」


さっきより、ゆっくりと言われた言葉は、聞き間違えではないようだ。
誰がロリコンだ。確かに年下の方が好みだけど、15歳以下に興味ねぇよ。だいたい犯罪なんだよ!児童ポルノやらなんやらで!
……落ち着け。抑えろ俺。お前は何歳だ。25歳だろう。ここで怒ったら大人気ないだろう。たかが子供の言うことじゃないか。きっと、難しい言葉を使いたかっただけさ(ロリコンが難しいかは、この際どうでもいい)。
優しく諭すように否定しようとしたが、遮られた。


「お兄ちゃんはロリコンじゃ、」
「黙れ。話しかけるな。穢らわしい」


この、クソガキッ
殴りたい衝動を抑え込み、必死で笑顔を浮かべる。もう一度話しかけようと口を開いた瞬間、鉄格子の上に立つ。
危ないだろ!


「頭が高いぞ、ロリコン。私はこの地球を侵略しにきた。お前達の言葉でいう、所謂宇宙人様だ」


お前の頭の位置が低いんだ。俺は立ってるだけだ。だいたい、宇宙人?地球侵略?それはそれはご苦労様です。早速ですが、帰って下さい。
ぴょこん、と音がしそうなくらい、可愛らしく鉄格子からベランダへと移る。何を思ったのか、そのまま(俺の)部屋に入った。


「こら、勝手に入るな」


少し口調がキツくなってしまった。女の子……いや、猫みみ宇宙人は俺の方に振り返る。


「今日からここは私の基地になった。仕方ないからお前を下僕にしてやる」


待て待て。ここは俺の部屋だ。で、俺はこの主だ。もう付き合ってられない。俺は厳しい口調で言った。


「帰れ」


猫みみ宇宙人は、ソファーに座る。帰る気はないらしい。


「下僕が命令するな。……お腹すいた。ハンバーグかオムライスが食べたい」


猫みみ宇宙人は顎を上げ、俺を見下すように見る。俺は対抗するように、見下ろす。メニューは可愛らしいが、言っていることが全く可愛くない。
動かない俺に痺れを切らしたのか、ソファーから立ち上がる。そのまま大股で近づき、腕を引かれた。


「お腹すいた」


上目遣いで言われ、不覚にも可愛いなどと思ってしまう。いや、騙されるな。コイツ見た目は可愛いが、性格に難ありだ。可愛げなんて一切ない。
更に腕を引かれる。意外に力が強い。


「ロリコン。あんまり舐めたマネをしてるとお前の腕、」


そこまで言うと更に腕を引かれ、膝立ちになる。耳元に口が近づき、小さく囁かれた。その言葉にゾッとし、慌ててキッチンに立つ。
泣きたい。こんな、猫みみなんて、ふざけたオプション付きのガキにいいようにされるなんて。屈辱だ。
もう本当に帰って下さい。俺と平和の為に。


猫みみ宇宙人/IDEAL rosaより
お疲れ様でした。おやすみなさい


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