【仕方ないったら仕方ない】

あ、まずいな。とは思ったのだが、ついつい。などと正直に話せば銀時は怒るだろうなあ、また宥めるかなあ、銀時を宥めるのは嫌いじゃないしむしろ好きなことだが、また一週間や二週間どこかへ軟禁というかほぼ監禁されてしまってはただでさえしばらく不在にしていた間の諸々がまた片付かなくなってしまうなあ、と一瞬のうちにいろいろ考えたが、もふもふした蜂蜜色の髪に視界を遮られて、面倒な雑念は捨てることにした。べつに流されたわけではないのだ。そんなことは断じてないのだ。
ただどうしてもどうしても、こいつは放っておけなかった。

夜中の闖入者は正体を現すとすぐさま桂を布団の上に押し倒し、何の挨拶もなしにあちこちを好きに貪り始めた。
「ん…こら、貴様、襦袢を噛みちぎるつもりかっ」
胸元の生地に噛み付いた斉藤は、のろのろと顔をあげると桂の襦袢を押し開いて、乱暴に剥ぎ取った。痛みと驚きに桂が小さく悲鳴をあげる。白くて艶かしい肌が晒される。斉藤は何にも遮られなくなった桂の肌をみて満足そうな顔をしたのち、再び胸元を蹂躙し始めた。
「…っこんな乱暴にして…、ァア!!」
注意するそばから強く乳首をつまみ上げられる。ぎゅうぎゅう抓られるそこはすぐに紅く、かたく立ち上がり、斉藤はそこを今度は舌で嬲り始めた。
「か、噛むなっ…噛んだら怒るからなっ…!は、あ、あんん、んん、」
その要望通り、歯をたてはしなかったが、強く吸われて腰が跳ねる。ふっくらと腫れた乳首を口全体で嬲られ、桂は快感から逃げるために身を捩る。
「…っ、やだ、…、あああ、それもうやめてっ、もう…ダメだから…っ」
桂の懇願に、斉藤は乳首から口を離したと思うと、紅くなっててらてらと光ったそこを指で絞った。ぴゅる、とそこから白い液が飛ぶ。
「ひィう!?」
ぽた、ぽた、と白い液体が胸から腹に零れる。それを見て、桂は耳まで真っ赤にして顔を背けた。
だから、やめろと言ったのに。
桂の乳首は男としては不自然に肥大化して女のようにふっくらと膨らんでいる。思春期以前から銀時と高杉と身体を繋げていた影響だった。おかげで大衆浴場にはいけないし、上半身を容易に露出することもできない。おまけにどきどき、母乳としか思えないようなものが出る。医者にかかったらとくに健康に問題はないと言われたが、そのときに乳腺が発達していると告げられたのが恥ずかしかった。銀時には喜ばれる始末だ。ついでに、坂本には嘲笑された。こんなになるほどに男の慰み者になっているのかという意味を込めて。そう言われるのは恥ずかしかったが、桂は銀時たちと身体を重ねて後悔したことはないのだ。慰み者でもなんでも好きに言うがいい。
斉藤は最初こそ驚いていた様子だが、もう慣れた様子でそこから噴出するものを戸惑うこともなく舐めとっていく。部屋の中にぢゅるぢゅるといやらしい音が響いて、それが己の胸元からだということに桂は耐えられそうになかった。
「もうっ…、そんな赤ん坊みたいにっ…」
男の平坦な胸元にすがりついてるという絵面は間抜けなものがあるが、斉藤の様子を見つめるとなんだか必死で、幼く、ふりはらうのも嫌で、仕方なく桂はそのまま気の済むまで好きにさせた。いつだってこうだ。

斉藤のセックスは乱暴で偏執だった。そんなとこまであれに似ていなくても、と桂はげんなりしたが、結局のところ、桂は乱暴で偏執的に犯されることに慣れきってしまっていた。そういうセックスを散々仕込まれて、若いころは文字通り悦んでいた。それは恋人の色に染まることであり、この上なく嬉しいことだと思っていた。相手が、あいつがよろこぶのならそれこそどんな要求にでも応え、毎晩気のやり過ぎで失神するまで、今とは比べものにならないくらい、はしたなくて厭らしくて浅ましいことを散々…。
ふと、若いころの、狂乱の日々を思い出して意識がぼんやりしていたときに、いきなり菊を硬いもので突っつかれて桂は引きつった悲鳴を上げた。
「ひっ、ダメだ!まだ入れるなっ…、あああ、やめて、」
ずぬ、ずぬ、と太い先端が無理に狭い穴に入り込もうとしている。まだ痛みはなく、穴の淵を刺激される快感だけがあったが、この段階でこれ以上入り込まれては裂傷ができないとも限らない。ろくにならされてもいない穴が侵入におどろいてわななくのを感じて、忌々しくも相手は快楽を得たようだった。そのままぐいぐいと無理に進もうとしてくるのを、どうにかふるえる腿で挟んで抗議する。
「いきなり入れるのはダメだと前にも教えただろうっ…!」
以前なんの愛撫もされぬままに無理やり突っ込まれたことがある。そういう目に遭うのは斉藤で初めてというわけではなかったが、曲がりなりにも乱暴されてるわけではなかったので(そのときまではそういう意識だった)、なんの抵抗の準備もしていなかった。
気絶してから目を覚ましたとき斉藤は腹立たしくも桂の体に寄り添って甘えていた。そのときかなりこっぴどく叱りつけたのに、こいつときたら!
兎にも角にも、斉藤は一刻もはやく桂の中に入りたいのだと主張するように堅く太く勃ちあがったものをずりずりと擦り付けてきた。桂はふるえる手で斉藤の指を掴むと、そのまま尻の間まで誘導した。
「ほら…ここ、…ここを指で解して…っ、そう、そう…っ、あああ!!!だ、だめ、いきなり、三本も入れちゃ、こらっ」
なんの遠慮も躊躇いもなく、斉藤は桂の穴に指をまとめて突き入れた。
「…ゆっくり…柔らかくして…、そう、…あ、あ、ああ、あっ、そこはだめっ、やめ、やめなさいっ、いや、ああだめ、だめ、だめえっ、あひ、ひいいいっ…」
斉藤の指は長くてかたく、その指が容赦無くごりごりと前立腺を嬲る。早急で一方的な前戯だ。桂はそう時間も置かずに気をやった。斉藤の指を咥え込んだ穴が派手に伸縮するのを感じて、またそこからの快感に喘いだ。しかし一度絶頂させても斉藤はまだ柔らかさが足りないと思ったらしく、桂が叫んでも嬲るのを止めず、立て続けに二回追い詰められ、堕とされた。
「はぁっ、はあっ、はあっ、…き、さま、やめろと…こら、まだダメだったら、ダメ……!!ダメ!!」
ふるえる脚をぐいと開かれて関節が痛んだ。さらされた秘部はしとどに濡れて、連続で絶頂させられてからまだ数秒しか経ってない身体は敏感になり過ぎている。とめろと言ったが斉藤は聞かず、乱暴な快楽の余韻でどこにも力が入らない。ぬるぬると穴に押し当てられる熱い感覚に、クる、と覚悟してせめて爪先に力を入れた瞬間に 、斉藤の雄が一気に奥にまで突き入れられて、桂は衝撃に悲鳴を上げた。
「ァァァあああああああああ!!!!」
つま先がぎゅっと丸まり、桂の全身が一瞬硬直する。腹から電流のように快楽が広がり、桂はとっさに自分の花芽をきつくおさえた。ここで絶頂を感じてしまうと、すぐに意識を飛ばされかねない。
「ぁ…ぁ…、ぁ…っ、ぉ、ぉく…奥っ…奥キてるっ……」
斉藤の陰茎は並外れて大きくて太く、めいっぱいに膨張すると桂の腹の奥にまで届く。そしてそこは桂の性感帯のうちのひとつだった。
「ひ!?うっ、うっ、動くな!!」
息を整える余裕すら与えられる暇もなく、斉藤は大きく腰を使い始めた。体重を使って突進するような動きだった。桂の細い体躯はすぐに追い詰められ、まるで布団の上に磔にされたように、自分の意思ではどうにもならなくなった。
「ああ!!ああああ〜!!」
桂は己の下腹部が細かく痙攣し始めるのを感じた。そのせいで、中に咥えさせられたものをひときわ強く締め付けてしまう。
「〜〜っ…、」
「ひ!?やめっ…!!」
律動がさらに激しく、早急になる。その動きで斉藤がもうすぐ果てることに気付いた。
「やっ、んっ、んっ、んうっ、んん!!」
低い唸りが耳元で聞こえ、腹の奥が一気に熱く濡れる感覚に桂はふるえた。その感覚が好きだった。花茎を押さえているが、手を緩めたらすぐに絶頂を迎えてしまう。
(あ…すごい奥に精液出されてる…お腹の中がグチャグチャ…)
それに。
(こいつまだ全然萎えてない…)
「あ…あ…あ…あぅ…、あっ!!はっ、はぁ、ああ、ああっ、あう!?」
ぐりんと視界が回ったと思うと、繋がったまま桂は斉藤の腹の上に股がされていた。息をつく暇もなく下から容赦なく突き上げられ、桂は背を仰け反った拍子に倒れそうになるのを、斉藤が腕を掴んで引き戻す。繋がった部分からぐちゃぐちゃと濡れた音が響いた。中に放出された精液が落ちて斉藤の陰毛に絡まり、そこを濡らしていくのも感じた。
「あっ、あっ、あっ、あっ、」
くちびるを噛み締めて耐えぬこうとしたが、うまく口を閉じることすらままならなかった。誰と寝ているときでも、この体位が桂は昔から苦手だ。腹の中に固く大きなものを咥えさせられている上に、男たちは桂が泣こうが喚こうが遠慮なく腰を突き上げて追いつめてくる。その突き上げは強靭で、ふと気を抜くと軽い桂の身体はいとも簡単に宙に投げ出されそうになるので、必死で崩れ落ちてしまいそうな快楽の中で身体を支えている。ときには自分から動けと命令されることもあるが、幾度目になっても桂はうまく動くことができない。幸運なのは、斉藤はそんな命令をしない(喋らないので当然だが)男だというこだ。だが、突き上げは乱暴だった。
「ああ〜〜〜〜!!!いや、いや、あああああ!!」
抜けると思えば、また貫かれ、その衝撃を受け止める暇もなくまた大きな雄がごりごりと身の内を抉り、また貫かれ、腹の奥まで蹂躙される。自分でおさえることもままならず、桂はがくがくとふるえながら絶頂を迎えた。くちの端から唾液からだらだらと落ちるのを感じた。きっとひどい顔をしている。見ないで欲しいと懇願したが、むだだった。締め付けられる感覚に斉藤は一瞬顔を顰めたが、構わずにそのまま収縮する穴を穿ち続ける。
「ああ、ああっ、やっ、やめ、やめれ、いまイッた、イッたから、とめれ、ゆる、ゆるして、いやっ、ひっ、ひいっ」
桂が絶叫しても、哀願しても、斉藤はさして気に留めない。そのまま、また中に射精された。
桂が睨みつけると、斉藤は、熱に浮かされた顔で桂を見つめていた。欲情と、憧れと、幼子が母親を見つめるような感情の混ざり合った、赤い眼差し。
「〜〜〜っ!〜、ひぃ、あう、あああん、ああ」
桂はもう起きてることができず、己を好きに犯す斉藤の身体の上に倒れ込んだ。鍛え上げられたたくましい筋肉の上に。口の端から唾液が流れていたのを、斉藤が舐めとる。
そのまま頭をつかまれると舌を激しく吸われた。突き上げるとうまく口吸いできないので、根元まで陰茎を埋めたまま腰の動きはぐるぐると中をこね回すようなものに変わる。桂は舌を吸われたまま喘いだ。腹の中をかき回され、口の中を犯され、目の前がチカチカする。
「んん、ん、んん、」
舐めまわされる口の中が、嬲られる身体の奥がたまらなく気持ちいい。熱くて硬い亀頭が腹の中をかき回す度に頭の中が快感で真っ白になる。
「あああーー!!イく!!イく!!もうだめ!!!!イく!!またイくう!!!イッ…あああ!!!!!」
ビクビクと激しく痙攣する桂の細い身体を、斉藤がきつく抱え込む。絶頂を迎えたまま、桂の陰茎が腹と腹の間で押し潰され、同時に再び身体の奥に精液を流し込まれる感覚に、桂は身悶えた。
「あっ、」
腹の中の陰茎が、まだ萎えていない。3回も射精したというのに、その若さに呆れ、でも愛おしく感じた。再びのしかかってくる斉藤と目が合う。だめ?と問いかけるような、不安げな、子犬のような表情だった。
「そんな顔しても…、……」
…………もう。仕方がないったら。





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