この世から体育という授業がなくなってしまえばいいと何度考えただろう。きっと10や20でもなくて100でも500でもないくらい考えたと思うんだけど、それでも体育の授業がなくならないのはどうしてなんだろう。願えば叶うなんて言ったの誰よ、嘘つき。

「悠架ちゃんは、体育嫌いなの?」

「うん、この世からなくなればいいと思ってる 」

正直に答えたのに笑われてしまった。スポーツ万能な基山くんには一生縁のない悩みだよね。私が運動嫌いじゃなかったらもっと楽しくお喋り出来たのかなぁ。私の心はもやもやと影を作って渦巻いている。どうやったら、体育が好きになれるんだろう。好きになろうと思えば思うほど、嫌いになっていった気がする。人生って難しい。

「じゃあ、見ているのは?」

「え?」

「誰かが運動してる姿も嫌い?」

「ううん、それは好き。自分が出来ない事を出来る人って本当に尊敬出来ると思うんだ」

「そっか。じゃあ、もっと頑張らないとね」

そう言って、みんなの所へと戻っていってしまった。基山くんは何が言いたかったんだろう。けど、何故か基山くんだけが輝いて見えた。


本当に何が言いたかったんだろう…

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