初めて見た時から気になっていたのかもしれない


真帝国と戦った時キーパーをしている源田さんが苦しく悲鳴を上げているのを見て私はあの時目を瞑っている事しか出来なかった…なんでかわからない…あの人が辛そうにしてた表情を見るだけでとても辛くて辛くて木野先輩の隣で泣いてしまった。

木野先輩は何も言わず私の背中をポンッと手を置いて泣いていいのよって悲しそうな表情をしてたのも覚えてる…

その後救急車に運ばれていく佐久間さん、源田さんを見て祈る事しか出来なかった自分を悔やんだ。
二人の事が気になったけど…後からお兄ちゃんから二人は無事という言葉を聞いてとても安心した。

お見舞い行こうかなって何度も病院に行ったのになかなか勇気がなく行けなかった…

彼は今楽しくサッカーしているのでしょうか…

休日の土曜日…本当はサッカーあるはずなのだが今日は珍しく休みになった。春奈は自分の部屋から空を眺めていると下から鬼道の声がしたため、覗いてみるとあの佐久間そして源田が私服姿で訪ねていた。

「えっ!?な、なんでお二人が…」

春奈は一旦窓から離れて隠れるようにもう一度窓からそっと見るように何を話しているのかも盗み聞きした。

「鬼道、久しぶりだな」

「元気そうで良かった…」

「久しぶりだな佐久間、源田上がってくれ」

二人は鬼道家に遊びにきていた。もちろん春奈もたまにはお兄ちゃんの家に遊びにいきたいとたまたま今日はここに来ていたのにまさかお二人が来るとは聞いていなかったため、緊張していた。

自分も何か出来る事がないか、部屋から出てリビングに行くと鬼道が自分でジュースやお菓子などを用意しているのを見つけた春奈は鬼道に話しかける。

「お兄ちゃん私がやるから」

「春奈?」

「お友達がきてるんでしょ?これは私が持って行くからお兄ちゃんは部屋に戻って」

「そうか、ありがとうな」

そう言ってリビングから去ったのを確認してジュース、お菓子を用意し鬼道の部屋の前にたどり着いた。たどり着いたなのはいいが入る勇気がないでも両手は塞がってるため開けられない。一旦置いて開けようと思った瞬間目の前の扉が開いて春奈の前に立っていたのは源田だった。

「すまない、わざわざ持ってきてくれたのか」

「い、いえ!!私がやるって言ったので気にしないでください」

目が合って優しく微笑んでくれた彼に一瞬ドキッとし、なんでか分からないが目線を逸らし部屋の中に入るとサッカー映像を見ていた佐久間と鬼道と目が合い二人からありがとうなと言葉をもらった。

「二人はあれに夢中でな、いろいろ語り合ってるよ」

「あんなに真剣に話してるお兄ちゃん見てると本当にサッカー好きなんだなぁって思いますよ」

「そうだな…鬼道とサッカーが出来るようになって嬉しいんだ…鬼道には辛い思いをさせていたからな」

「そんな源田さんだって…」

「俺?」

「怪我して大好きなサッカーが出来ないって凄く辛いです…病院にいる時だって辛かったと思います」

「音無さん」

「はい?」

「病院何度も来ていてくれてたんだよな、実は窓から外を見ていた時に見てたんだ音無さんが病院の前で行こうか迷ってる姿を」

「えっ!!み!見てたんですか…!」

「そこまで俺たちの心配をしてくれていた事に俺は凄く嬉しかったんだありがとうな」

「いえ、私お見舞い行きたかったんですけど行けなくて…」

だんだんと声が小さくなり、目の前では優しく微笑んでくれている彼の表情を見ると胸が痛くなった。春奈はギュッと拳を握りこの痛みの原因は分からなかった。

だんだんと時間も過ぎて彼らが帰る時間になると春奈も帰ろうかと荷物を持った瞬間横から源田がその荷物を持った。

「あ…」

「途中まで送ろう。鬼道に頼まれたからな」

「すまない、佐久間はこうみえて優しいからな」

「源田…」

「あ、ありがとうございます!」

佐久間さんともお話してなんだかあの頃の二人ではなくお兄ちゃんともまた仲良くしていて大好きサッカーが出来て本当によかったと思っています…。

「それじゃあ俺こっちだからまたな源田、音無」

「またな」

「さようなら佐久間さん!」

佐久間と別れてから二人きりで歩くこの道はとても静かで周りには私達しか居なかった。後ろには夕焼けがあり、周りから見れば彼氏彼女そう見えたりするのだろうか…

「音無はサッカーが好きか」

「はい!私雷門のサッカーを見てから凄く大好きになったんです」

「そうか、でもこうやって音無とサッカーの話をするのも悪くない。」

「え?」

「ほら着いたぞ」

いつのまにか春奈の家の前に着いていた事に驚きながらも玄関に入ろうとする前に源田の方へと振り向いて頭を下げた。

「送ってくださってありがとうございました!」

「音無と話せて良かったよ、また遊べるといいな」

「は、はいっ!」

そう言って源田は手を振り春奈は見えなくなるまでその後ろ姿を見つめていた。やっと分かったのかもしれないと…

自分は源田に恋をしていたことに…


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