いつものように俺は夕香のためにお菓子を買って病院に行く。商店街を過ぎて、病院の方面を歩いていると周りの人達がソワソワし始めている。何事かと思った瞬間聞き覚えのある声が聞こえた。
「や、やめてください!」
この声は…雷門?
俺はとっさに声のする方に向かうと雷門が不良に捕まっている。手を掴まれて逃げないようにしている。俺はサッカーボールを落とし、不良達に当たるようにボールを蹴る。炎のように走り、見事そいつらの頭に命中。不良は痛そうに頭を抑えて俺の方を見る。後ろに居る雷門は助けてと涙を流しているのが見えた。
「まだ、やるのか」
俺はいつもより低いめの声で不良達を脅してみると呆気なく不良は商店街の方へと逃げて行った。雷門は安心したのか落ちるようにと座り込んだ。
「大丈夫か、雷門」
「え、えぇ…」
俺は雷門に手を差し伸べて、それを掴んでくれた彼女はそれを掴んで、立ち上がりまだうっすらと涙が残っていたのに気付いて慌てて涙を拭いた。
「ありがとう…豪炎寺くん…その助けてくれて」
「いや、助けるのは当然だ…何故不良に絡まれたんだ」
「え、えっと…一緒に遊ばないかって誘われたの…でも怖くて断ってしまっちゃって」
「それが当たり前だ、知らない奴に誘われても行かないようにしろよ?お前は危なっかしい」
「そう…よね、ごめんなさい」
いつも強気のある彼女じゃなかった、今は素直に謝り落ち込んでいるように見えた。俺はまるで悪い事を言ってしまったように感じ、いつの間にか彼女の手を掴んでいた。
「え、豪炎寺くん」
「また一人になると危険だからお前の家まで送る」
「え、でも…貴方夕香ちゃんのところに行くんでしょ?」
「まだ時間はあるからな、大丈夫だ」
「じゃあ、お願いします…」
隣を歩く彼女の顔を見ていると落ち込んでいる表情で、こういう時自分はどうしたらいいか、分からなかった。鞄からラムネを出して彼女に渡す。
「これ、なに?」
「ラムネだ、いつも夕香が食べているんだが食べてみろ」
「ラムネ?小さいのね…すっぱい!」
「ラムネだからな」
「豪炎寺くんこれレモン味?」
「…レモン味」
彼女はラムネを一つずつ食べて幸せそうな顔をしている、こういった食べ物は彼女にとって珍しいし、俺はそんな雷門を見れて嬉しいと思った。
「ねぇ、今度これが売ってある店行きたいわ」
「今度行くか?」
「ええ、これとっても美味しいわ」
彼女の顔を見れて幸せな自分がここに居る。