気付いたら高校生になっていた。
中学校とか、小学校とかその前とか。
全然思い出せなくて、所謂これが記憶消失ってやつなのかと思った。
親の顔も、兄弟がいたのかいなかったのか。些細な出来事さえも思い出せなくて、世界にひとりぼっちになった気分でいた。
生活には困らなかった。気付いたときは家にいたし、運よく通帳も見つけて、中を見たら結構な額の貯金が入っていた。排泄の仕方とか、しゃべり方、日常的に行うあらゆることは覚えているから生きてはいけるけど、身寄りがない。心細いことこの上ないのだ。でもどんなに探したって家族は見つからないし、書類なんかもでてこない。もう諦めて自分の足で生きていくことを決めた。自分の順応能力に感心する。
書類によると2日前に高校は始まっているらしい。なんということだ。新学期早々2日も欠席している。友達作りも1からなのにやばい。明日からはまじめにいかなければ。
ああすべてが1からなのだ。虚無感みたいなものが心に残った。


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