chapter.2-10


「お、落ち着けってシェスカ!」

「ここ何日か耐えてきたけど、もう我慢の限界よ! ほんっとどうにかしてよブランにノア!!」

「そう言われてもなぁ」

 ブランは溜め息まじりに首を横に振った。

「息をするようにセクハラするやつだからな。せめてここにもう一人女性がいれば被害は分散されたかもしれないなぁ」

「どっちにしろ被害は受けるんだな…」

 黙っていれば顔もいいのに、本当に残念な奴だな…とヴィルは呆れるしかない。一方シェスカは、未だ迫ってくるジェイクィズに対して剣を抜いて威嚇している。そして冗談じゃないといった風に声を荒らげた。

「あんたら他人事だから言えんのよっ!もし自分よりごつい男にべったべった体触られたらーとか考えてみなさいよね!!」

 そう言われて考えてみる。妙に色黒で筋肉質なアフロ男(何故かそんな見た目が思いついた)が、ジェイクィズがシェスカにやっているようなことを自分に…………。
 ぞわわっと全身が粟立った気がした。

「せっ、セクハラはダメだな!!うん!!ダメだよ!!」

「え、ええ。そうね……何想像したのよ。大丈夫?」

 自分でもあまりの気持ち悪さに顔が真っ青になっているであろうことがなんとなくわかっていた。ブランの方を見ると、彼も顔をぶんぶんと振って嫌な想像を打ち払っているようだった。

「あっ、ねぇ見てよあれ!」

 一人先を歩いていたノワールがそう声を上げた。
 彼が指差した方を見ると、暗い道の中にそこだけ淡く、ぼんやりと青い光が浮かび上がっている。それを見たブランはノワールに駆け寄ると、互いに顔を見合わせた。

「何かしら、あれ?」

「ひょっとしたらオバケかもよ〜」

「「違うよ、道だ!」」

 ジェイクィズの声にかぶせるように、双子は同時に叫んだ。
 
「道って…オレ達ずっと通ってたじゃん」

 そうヴィルは首を傾げると、嬉しそうに目を輝かせた双子はくるくると回りながら彼らの前に戻ってきた。

「そういうことじゃなくて!これは僕らが知ってる道かもしれない!」

「サンスディアに繋がる道だ!」






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