「なぁ、シェスカ。話してくれないかな、きみのこと」
こんなことになったのも、元はといえばシェスカと出会ってからだ。彼女はあの変な魔物のことも、フードの二人組のことも知っているようだった。それに、ずっと気になっていたこともある。
ぴくり、と彼女の肩が揺れた。ゆっくり顔を上げたシェスカの表情はとても悲しげだ。そんな顔を見られたくないのか、彼女はまた俯いてしまう。
ヴィルは彼女の目線に合わせるように、シェスカの隣へ腰を下ろした。
「…話すわ、全部。ここまで巻き込んじゃったんだもの。あなたには聞く権利があるわ」
彼女はヴィルに全く口を付けていない水筒を返すと、再び顔を上げた。
シェスカの瞳には先程までの暗さはなく、ただ真っ直ぐにヴィルを見据えていた。
「半年くらい前かしら。私がお世話になってた村にね、あいつらが来たの」
シェスカは少し考えてから、そう切り出した。
chapter.1-32
world/character/intermission