『堅牢なる光の盾!! 我らを守護せよ!!』
バキィィィィィィィィィィィン!!
シェスカの声と何かが弾かれるような音が同時に聞こえた。
おそるおそる目を開けると、宙に剣を突き出している彼女の姿があった。そして、その剣の先には、何かに吹っ飛ばされたようにひっくり返っているデカガエル。
「え、え?」
いまいち状況が掴めないでいると、
「ヴィル! 時間稼いで! あいつまだ動くわよッ!!」
「あ、ああ!」
シェスカに言われるまま、腰のホルダーから剣を引き抜く。
そうしている間にデカガエルは体勢を立て直したようで、長くて先の丸い舌でべろりと舐めずっている。
「出来る限り私に近付かせないで! 合図したらそいつから離れて! いい!?」
「わ、わかったよ」
シェスカの言う通りに、ヴィルはデカガエルに向かって走り出した。
できるだけ低く姿勢を保ちつつ、そいつの足を狙う。
が、あのカエルはそんなことお見通しだと言わんばかりに、その長い舌で彼を捕まえようとするため、なかなか近づけない。
――ちょっ…! こいつ早い…!? もう薬が切れたのか!?
舌が彼の左をかすめた。粘度の高い唾液が飛び散る。
ヴィルの顔にびしゃりと唾液がついた。独特の水臭さが鼻を突く。
そのことに一瞬気を取られていると、
「っ、がッ!?」
デカガエルの手がヴィルを地面に思い切り叩き付けたのだ。
その衝撃で、右手から剣を放してしまう。
しまった……! そいつの舌を躱すことに集中しすぎて、手の存在を忘れきっていた。
デカガエルの湿った皮膚がじんわりと、ヴィルの服を濡らしていく。
何とも言えない不快感から抜け出そうと、彼は身をよじった。しかし、思いのほか力が強い……!
chapter.1-08
world/character/intermission