chapter.3-11


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「−−っ!?」

 ずっと感じていた魔力が消えた。必死に辿っても、それはどこにも感じることができない。
 どうして? 突然? 頭の中がきもちわるくてどろどろした黒い何かでいっぱいになる。
 この街に来たところまでは、まだ感じていた。気配はどんどん近づいてきて、もうすぐ帰ってくる。そう思っていた。
 それがさっき、唐突に、ぶつん、と途切れたのだ。髪を引き千切るあの感覚によく似たそれは、わたしにとって恐怖でしかない。

−−探しにいかなくちゃ。

 窓を開いて、その枠に足を掛けた。ふと、裸足の足が目に入る。いけない、外に出る時は靴を履かなくちゃいけないんだっけ。怪我をしたらまた彼が心配する。
 わたしはお気に入りの白い靴を急いで履くと、もう一度窓枠に足を掛けた。
 そしてまた彼に言われたことを思い出す。ここは二階なのだから、窓から外に出ちゃいけない。ああ、なんて面倒なのだろう。でも、仕方ない。彼の言うことはいつも正しかったのだから。
 わたしは窓を閉めると、今度はちゃんと外へ出るために玄関へと向かった。外はほの明るく、もうすぐ夜が明けるのだと教えてくれる。空は朝焼けのきれいな色を称えて、鳥達が朝の挨拶を交わしていた。
 そんな爽やかな朝の光景を見ても、わたしの頭の中は真っ暗なままだった。



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「見えない臓器の名前は」
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