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いつも馬鹿にされてばかり…。

たまには、彼の知らない、アリエッタだけが知っている事が欲しい…。

そう思い、図書館で苦手な文字に向かい合うこと数日…。



「シンク…!」

「…アリエッタ?」


書類を片手に振り返るシンクは、ちゃんと足を止めてくれたから直ぐに追いついた。


「どうしたのさ、そんなに走って。」

「えっと…」

「そう言えば、最近図書館に通ってるらしいね?漸く少しは勉強する気になった訳?」


何処からそんな情報を仕入れたのやら、意地悪く笑いながら彼はそう言う。

相変わらずの彼の態度に、今日こそはアリエッタも負けるものかと言い返した。


「とりっくおあとりーと!」

「……は?」


今まで見たことのない、シンクの間の抜けた顔。

アリエッタは内心、勝ったと勝利を確信した。


「今日はハロウィン、です。頭の良いシンクなら、知ってるよね…?」


と、この台詞も対シンク復讐用に3日掛けて考えた。

その甲斐あってか、彼は少し悔しそうな顔をする。


「さぁ、聞いた事ないけど。何のおまじない?」


観念したのか、素直に聞いてきた彼に、アリエッタは満面の笑みだった。


「えっと、『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』って意味らしいです。」

「ふぅん。…じゃあコレ。」


納得した様子の彼は、ポケットから小さな飴玉を取り出してアリエッタの口に放り込む。

舌の上で転がるごとに、甘い味が染み渡った。


「美味しい…です。」


今日はシンクに一泡吹かせたし、良いことずくめだとアリエッタは思わず笑みを浮かべる。

が、此処で引き下がるシンクではなかった。





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