1 「だから、一体何なんだよ!」 「…別に。」 「何が悪かったんだって!」 「…貴方は何も悪くないわ。」 「なら…何でそんなに怒ってんだっつーの!」 叫ぶ一人と受け流すように静かな返答を返す相手。 それは、短くなった赤毛を掻き乱して叫ぶルークと、いつものように茶色の髪をサラリと流したティアの姿だった。 「わっけわかんねー……」 宿の椅子で、拗ねたようにブツブツと文句を零すルーク。 その姿に、ガイとジェイドは首を傾げる。 「ルーク、さっきから一体何があったんだ?」 「見たところ、貴方がティアの機嫌を損ねてしまったようですが…」 半分心配、半分野次馬。 二人の問い詰めるような視線に、ルークは耐えかねたように叫んだ。 「うっせー!俺は悪くねー!」 その聞き慣れたとも言える言葉に、ガイとジェイドは溜め息を零す。 「…ルーク、お前……」 「変わるんじゃなかったんですか…?」 呆れたような二人の言葉を聞くと、ルークはうっと小さく唸った。 しかしそれでもルークは、もう一度小さな声で呟いた。 「俺は悪くねぇ……」 この頑固さに、使用人兼親友であるガイが一歩踏み出す。 「まぁ、事情を話してみろよ。お前が悪いか悪くないか、俺が判断してやる。」 「全く、未だに保護者気取りって感じですねぇ…」 「旦那はただの野次馬だろ?」 「いえいえ、私は純粋にルークを心配して…」 「嘘吐け。」 目の前で繰り広げられる、仲間同士のじゃれあいにしか見えない会話を聞きながら、ルークはポツポツと言葉を零し始めた。 _ → back |