1 「あっぢぃぃぃ……」 燦々と照りつける太陽の下。 俺達は……力尽きようとしていた。 「って待て!勝手に俺達を殺すな!」 「だってよぉ、ガイ……こんな気温の中で旅するなんて、その内倒れる奴が出るんじゃねぇの?ああ暑い……」 「ああ、もう…言うな、ルーク。…余計暑くなるだろうが……」 「こんだけ暑いのに言わずにいられるか!暑い暑い暑い!!」 「ルーク!いい加減にしなさい!暑いのはみんな一緒なのよ?貴方が我が儘を言って涼しくなるなら、誰も文句なんて言わないわ。」 ガイに対する俺の反論を我が儘だと取ったのか、ティアが怒った様子で割り込んで来た。 俺にとっては、ただの気を安らげるジョークのつもりだったんだけど。 ガイもそれが分かっているのか、苦笑気味に此方を見ている。 「まぁまぁ、ティア。ルークがこういうのも仕方ないだろ?それにティアも少なからず、暑さの所為で苛立ってるみたいだしな。」 「わ、私はそんな事……」 ガイに言われた事を完全に否定出来ないのか、ティアも口ごもる。 気まずい沈黙。 この元凶は俺か、と落ち込みそうになった時、はぁ〜っと音が聞こえそうな程わざとらしい溜め息と同時に、ジェイドが口を開いた。 「仕方ありませんねぇ……」 「何がですかぁ?」 「アニス。このままの状況で、旅が安全に進められると思いますか?」 「う〜ん…ルークの我が儘じゃないですけど、私もこのままじゃいつか倒れちゃうかもしれないです〜……」 アニスの額に浮かび上がる汗が、それを物語っている。 他のみんなの額にも同じく、ナタリアだけが上品にハンカチで度々拭ったりするものの、限りなく浮かび上がる汗は止まらない。 ただ、ジェイドだけが汗一滴かかずに平然といるのが気になるのだが…。 「そこで、提案ですが。」 バッと全員の視線がジェイドに集まった。 この場の空気は、冗談を許さないだろうから、これから言われる言葉はきっと良い事に間違いない、と。 そして、いつもの笑顔を浮かべてジェイドは一言。 「息抜きに、海でも行きましょうか。」 _ → back |