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「ルークは……?」



自由行動の一日。


好奇心旺盛な彼なら、常に外を走り回っている時間。


それなのに、今日は彼の姿が見当たらない。


未だ寝ているのだろうかと、ティアは宿へと足を運んだ。





「…ルーク?」



ノックをしても返って来ない返事。


留守かと思いながらも一応確認するように扉を開く。


しかし、部屋の奥に見えたのは不自然に盛り上がった布団。


それは誰かがその中に居る事を示していた。



「…もう、ルーク。いつまで寝てるの?もうお昼……ルーク?」



その布団がいつも彼の寝る所だと理解していたティアは、直ぐに中の人物を理解する。


しかし、名を呼びながら近寄ったベッドでは、荒い息と赤い顔で寝込む彼の姿だった。



「ん……ティ…ア……?」


「…ルーク?具合、悪いの?」


「……。」



ぼんやりとした視線のままの彼が自分の名を呟くのを聞くと、状況を問おうとするが返事はない。


最近の出来事から、変に心配性となっていたティアは、直ぐに不安が募ってしまう。



「…大佐を呼んで来るわ。少し待ってて……」



背を向けてその場を去ろうとしたティアだが、それはルークの手に服の裾を掴まれた事で阻まれる。



「ルーク?大丈夫よ。直ぐに戻るから……」


「…いい……」


「え?」


「俺…これ以上、皆に迷惑…かけたくない…から……皆には……」



言わないでくれ、と続けたかったのだろう。


途中で言葉は途切れたものの、視線はティアに向いて離れなかった。



「…馬鹿ね。移動中に倒れられた方が迷惑よ。」



昔とは違う、周りへの配慮を考えたルークの発言に、少なからず喜びを感じながら答えたティア。


それは優しさのつもりでの言葉だったのだろう。


彼女の口元が柔らかく微笑んでいた事で、そう判断出来る。


しかし、今のルークにとってはそれすらも落ち込む材料となってしまう。





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