気付けよ、ばーか
※学パロ
普段ここは立ち入り禁止の為、オレたち以外は他に誰もいない屋上でぽかぽかと暖かい日差しに当たりつつ、のんびりと昼飯を食べていた。
2限目の数学が難しくて腹が立ったとか、今日の弁当に入ってる卵焼きが美味しいとか、ほんとに何でもない他愛も無い話をしていた。
しかし、その話題は唐突に切り出された。
それ関連の話題は今までオレもゴンも一切触れていなかった。
「ねぇ、キルア、恋…ってしたことある?」
「………は?」
それは余りにも唐突で、まるで今日の宿題やった?とでも聞くように、ゴンはオレに言った。
余りにも急だったから、一瞬思考が止まってしまった。それくらい動揺してしまった。
「えっとね、昨日ちらっと見たテレビがね、そんなのやってて何となく見てたんだ」
「…ふーん」
ゴンの言葉でゆっくり動き出した頭でなんとか言葉を返す。
「ふーん、じゃなくて!キルアは恋したことあるのって聞いてるの!」
(…えーっと…)
何と答えたらいいものかと思案する。
オレは、…オレの好きな奴は…、
「…あるよ。オレが好きなそいつはスゲー優しくて、無邪気で可愛くて、でもよくドジるからほっとけなくて。そして…オレと友達な奴」
言った、言ったぞ。
流れで告白紛いなことをしてしまったことに何だか恥ずかしくなって、そっぽを向く。多分、今オレの顔真っ赤だ。うわ、だっせー。
ぐるぐると色んな想いが身体中を駆け抜け、ゴンの顔が見れない。
ゴンは暫く考えるような素振りを見せると、突然えええ!?と驚愕の声を上げた。
「キルア好きな人居たの!?何でオレに教えてくれなかったんだよー!」
「…え?」
本日二度目の思考停止。
しかし今度はあっさりと終わり、それと同時に心中で盛大な溜め息を吐いた。
…あろうことか、ゴンには通じなかったらしい。まあ確かに遠回りに言ったオレも悪かったけど。
今までゴンの口からそういう話が出てこなかった理由に納得しつつ、横でブツブツ言っているゴンの頭をごまかすようにくしゃりと撫でてみる。
「、わっ!急にどうしたの、キルア」
「べっつにー」
気付けよ、ばーか
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鈍いゴンちゃんと片思いキルアくんかわいい。