櫂ショタアイ02


!前回の続き
!アイチきゅんがショタ





「ここがカードショップだ」
「わぁ…!」


再び公園で出会った少年、先導アイチは、櫂がブラスター・ブレードを渡してから少しだけ変化していた。
きらきらとした瞳で、じっとカードを見つめていた。そこには以前のような暗い表情は消え去っていて、面影すらなかった。それに安心して、心の底から良かったと櫂は思った。今までにここまで他人のためにして良かったと思ったことはあっただろうか、否、皆無だった。


「あら、アンタ来てたの…その子は?」


おどおどしながらも興味深そうに辺りを見回すアイチを微笑ましく(無自覚)眺めていた櫂に気付いたのはこの店、カードキャピタルの店員の戸倉ミサキ。続いて櫂の足下にいるアイチを見て問い掛けた。


「……、親戚の子だ」


しかし櫂にはアイチがどういう存在なのか説明する言葉を持ち合わせていなかった。適当にその場しのぎで親戚と言った櫂だったが、ミサキは特に気にもせず納得したのだった。


「…そう。ねえ、君」
「ふぇっ?」


ミサキはカウンターから出てくると、腰を下ろして、アイチに目線を合わせた。そこでようやくミサキの存在を目にとめたアイチは、びくりと身体を震わせてミサキを見た。


「ヴァンガード、好き?」
「は、はい!」


あまり人に慣れていないアイチだったが、ミサキの優しい視線と声に安心したのか、警戒を解いて笑顔で頷いた。
にこにこと花を飛ばす勢いの笑顔にミサキは無意識でアイチの頭を撫でた。それが嬉しいのか、アイチの頭上に立っている髪の毛は感情を表すようにぴこぴことはねている。


「…かわいい」
「あ、おねーちゃん!ぼくにもヴァンガードおしえてください!かいくんとファイトしたくて…!」
「いいよ、こっちにおいで」


立ち上がったミサキは一度カウンターに戻り、自分のデッキを手に取ったあと、アイチの手を引いてファイトスペースに向かった。その際、櫂の方を見て一言。


「懐かれてんじゃん、アンタが子どもに優しいなんて珍しいね」
「…うるさい」


櫂とファイトしたいというアイチの気持ちを聞いて口元を手で覆って、緩む頬隠す櫂だった。







カードキャピタルにて


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