※グロ、カニバリズム表現有り














 まず、手始めに腹を裂く。胸板の下から臍までの線を、素早く且つ狂いなく迷いなく。そうしたら、溢れ出てくる生暖かい液体を一筋も逃さないように丁寧に舐め、啜り、嚥下する。まるで犬だか猫だかのように、横たわったお前の身体に覆い被さって、舌を這わせる。お前の血はきっと、甘くて美味しいのだろうなあ。まるで石榴の搾った汁みたいに私の唇を赤く染めながら喉を潤してくれるのだろうよ。血を残らず飲み干したら、次はふにゃりとした腸を引き裂き、ぬめりを帯びた肝にかぶり付き、肺をしゃぶり尽くす。しなやかな筋肉と、身体の隅々まで張り巡らされている血管も、纏めて咀嚼して飲み下してしまう。
 頭は厄介だけれど、潰してしまわないように錐と金槌で頭蓋骨を丹念に削り取り、割ってしまえば良い。後ろに、ちょっとだけ孔を空ける。十二分に気を張って指先まで神経を研ぎ澄まして、大丈夫、私は器用なのを知っているだろう? そうして脳味噌も私が食べてあげる。まだ見たことはないのだけれど、脳味噌って、固いのかな、それともぐずぐずに柔らかいのかな。

「……味噌っていうくらいなんだから、柔らかいんじゃない?」
「やっぱりそう思うか」

 頭蓋の内側まで綺麗に満遍なく舐め終わったら、最後は眼球。よくよく熟れた琵琶の実をかじるように、涙だか血だか両方混じったものだかを舐め取りながら口に含む。歯を立てたらぷつりと気持ちよい音を上げて弾けそうだ。ああ、たまらない。指先を伝って滴る果汁までをも想像できる。
 そうしたら、私が食い尽くして空っぽになったお前の身体を純水ですすいで乾かして、腐ったりしないよう、皮膚の裏側にみょうばんの粉を振って、真綿を詰める。足の指先まで隙間なく綿でいっぱいにしなければいけない。空洞になった眼窩は凹んでしまっていけない。私が食べてしまった眼球の代わりに、お前によく似合うだろうから、光を通してきらきらと輝く硝子玉を嵌め込んで――。



「良い考えだと思わないか、雷蔵」
「そうだね、三郎。とても良い考えだ」
「じゃあ、お前も私と同じ気持ちなんだな」
「僕も君と同じ気持ちだよ」
「それなら、約束な」
「うん、約束」



(もし、お前が死んでしまったら)
(君の内臓も血も眼球も全部ぜんぶ僕が食べてしまって)
(剥製にして)
(一生離さないでいてあげるから)







110525 加筆修正

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