何もかも初めてなのです | ナノ
「なあ、デモリッシャー…俺とお前って恋人だよな。」
「ああ…。」
「恋人らしい事したいんだけど。」
サイドウェイズは我慢の限界だった。
自分の告白により恋人になったサイドウェイズとデモリッシャーだが、普段と変わらない日常に苛々が募っていた。
己より大きな体の相手の部屋に居るサイドウェイズはベッドに座り込んでいる恋人を突如押し倒した。
「…ウェイ、ズ…?」
「まさか、何もかも初めてなんて…」
「……そのまさか、なんだ…」
そうでは無いかと思っていたが、まさか本当に初めてだとは。
サイドウェイズは頬を染めるデモリッシャーの唇を舐め上げる。
体を震わせ更に頬の赤みが増す彼のそれを啄む様にして何度も口付けをした。
「っん、…ウェイ…っ」
段々と激しくなる口付けに動悸がして来る、相棒兼恋人である彼の接吻にまるで酔わされているかの様だった。
やがて引っ込んでいた舌を引きずり出し、絡めて来た恋人のそれの動きが気持ち良く息も乱れて行く。
「デモリッシャー…」
「はぁ…、…ウェイズ…」
流石に初めてでは怯えさせてしまいそうでサイドウェイズは恐怖した。
唇を離すと暫く考え込む様な素振りを見せる相棒にデモリッシャーが緩く首を傾げる。
「…ウェイズ?」
「わ、悪い…やっぱり、まだ初めてって聞いたら怖くなっちまって…」
「俺の事なら気にするな。」
表情を歪めるサイドウェイズをデモリッシャーが包み込む様に抱擁する。
しかし、サイドウェイズは首を横に振った。
「俺達の出逢った日にしよう。」
「俺達の…?」
「そうだよ、初めて俺達が出逢った日に初めて体を重ね合う…ロマンチックな感じするんだけど。」
"ロマンチック"
サイドウェイズが言うと似合わなくて、デモリッシャーは噴き出した直後声を出して笑った。
相棒の笑い声に顔を真っ赤にして怒るサイドウェイズの頭を軽く撫で回す、それでも彼は未だに目尻に涙を溜めながら爆笑していた。
「っ…あー可笑しかった、お前が突然似合わない言葉を言うものだから…」
「くそ…当日は覚えてろよ、腰が使えなくなる位泣かすからな。」
「ふふ、楽しみにしてるぞ…?」
思い出し笑いをしそうになるデモリッシャーを阻止するかの如く、サイドウェイズは何度目かの口付けを施した。
fin.
2011/12/04
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