所謂、幼馴染み。


それがレンズの中に映る彼、伊達政宗と、カメラモードの携帯を持つ私の関係だ。


2階の自分のクラスの窓から、グラウンド争奪を繰り広げているユニフォーム姿の政宗と幸村に携帯を向ける。

「むふふ、今日も格好いいなぁ!あんなに眉間に皺を寄せてるのに写りはバッチリ!」

パシャリ、とシャッターを切り、政宗の映る画面を見ながら呟く。



家がお向かいさんで、小さい頃から一緒に居て、当たり前のように高校までずっと一緒の学校に通って。

勿論登校も下校もお弁当を食べるのだって一緒で。


そんな2人を、周りは『付き合ってるんでしょう?』なんて言うけど生憎私達はそんな関係じゃなかった。

違うよ、付き合ってない。その言葉が悲しく思えたのは中学生頃だったか。

付き合ってるんでしょう?その言葉が照れ臭くて、それでも嬉しいと思うようになったのも同じぐらいだったと思う。


つまり、私は政宗のことが、中学生ぐらいからずっと好きなのだ。


その想いに気付いてしまえば、ずっと一緒に居るくせに、それだけじゃ物足りなくて。

その頃から、私は政宗を携帯や写真に収めるようになった。

そうすれば、記憶のように過去の政宗を忘れてしまうことは無いから。過去だって、今だって、1日1日の全部の政宗を忘れたくないし、それに、写真になればその政宗は私だけのものだから。



「Hey、名前!今日の写りはどうだ?」


グラウンドに居た政宗が、私に気付いて校舎に近付き、見上げてくる。

「ばっちりだよ!」

そう答えれば「流石俺だぜ。modelが良いと何でも様になるからな」と何だか満足そうにしていた。



政宗を追っかけ始めて、何時だったか1度、政宗ファンの子に「政宗様が迷惑してるのよ」と釘を刺されて写真を撮るのを止めたことがあった。

その頃は隠れて撮ってた筈だったのに、政宗にはバレバレだったみたいで、その日のうちに「今日はphotoは撮らねぇのか?」なんて言われてしまって。

「迷惑、かなって、思って」

そう思い切って言ったのに、政宗はキョトンとして

「Ah?今更か?誰が迷惑っつったよ。お前は俺の周りをウロチョロしてれば良いんだよ。you see?」

と、いつものニヒルな笑みで返されてしまっては止めるに止められなくて。

結果的に、それからは隠れることもせずに堂々と写真を撮ることが出来るようになったから良かったんだけれど。



「名前!もうclubも終わりだ、帰るぞ」

「待ってて!今降りるから!」



きっと、明日も明後日も、こんな奇妙な関係が続いて行くんだろう。
いつか、いつか、2人が結ばれたとしても。



「政宗見て!今日のベストショットはこれ!片倉先生に怒られる政宗!」

「Ah!?ンな格好悪ぃphotoは消せ!」

「やだ!」






(名前、お前は)
(いつ、どんな時だって)
(俺だけを見ていれば良い)










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