‖07 四番隊の兄様が休んでおられる部屋から出る。 嬉しかった。 緋真様が私の実の姉であった事には多少驚いたけれど、兄様の口から私が何故朽木家に拾われたのかずっと疑問だった事を聞けて。 スッキリした気持ちで廊下を歩いていると前からよく知った人影が。 「あ、姉様」 「あらルキア」 呼びかけた声に私を見てくださってはにかんでくれる。 今日も変わらずお美しい。 姉様、彼方様はどこか神秘的な美しさがある。 時に儚く時に気高く。 兄様の隣に並んでおられると美しすぎて少し近寄りがたい。 「嬉しそうね」 突然そう言われて驚きに間抜けな声が出てしまったが、先程あったことを話せば姉様はふわりと笑われた。 「そう…あの人漸く話したの」 それはとても言葉には表せない独特の雰囲気で、でも柔らかい。 良かったわね、とその笑顔で言われて嬉しくなった。 姉様は私をとても可愛がってくれる。 それこそ妹のように。 姉様は兄様と結婚するのだから兄様の義妹である私が姉様の義妹にはなるのだけれど、そうではなく。 実の妹のように可愛がってくれるのだ。 それが暖かく、時に母のようでもあった。 才能も死神としての実力も、完璧なまでに持ち合わせている姉様だけどあまり隊舎から出てこられないから瀞霊廷で姉様をお見かけするといい事が起きるとかいう迷信まで生まれている。 初めて聞いた時はびっくりした。 びっくりしたと言えば兄様だ。 兄様は姉様と二人だといつも見ている兄様ではなくなる。 あの兄様が柔らかく優しい雰囲気を纏っているのだ。 それ位兄様にとって姉様は大切な存在なのだろう。 私も姉様が大好きだ。 憧れでもある。 あんな女性になりたいと常々思っている。 朽木家の人間になった以上、貴族らしくする必要がある。 姉様はお手本だ。 姉様の一挙手一投足はとても優雅で綺麗なのだ。 今度また色々教わりたい。 姉様と別れて少し歩いた所でふと振り返る。 そこには背筋をスッと伸ばし扇子片手に歩く姉様の後ろ姿。 それだけでなんだか恰好良く、そして綺麗だ。 兄様も久々の姉様に気分が上がればいいのだけど。 それにしても久しぶりに姉様が隊長羽織を着ている姿を見た気がする。 [*前] [次#] |