クラスまで上がって来たのはいいものの、俺はあまりの衝撃に我を忘れた。

「お、美月はよー」
「……コレナニ」
「んんっ?なんかさっき2年の奴が来てやってった」
「………ソイツって」
「多分さっき下駄箱で喚いてた奴じゃね?身長でかくてガタイのいい黒髪短髪の」
「あー、もういいわかったやめてくれ」

なんだこれ新手のイジメか?
つーか何してくれちゃってんの?マジで。何考えてこれ?
好き=コレの公式が成り立たないんだけど、なにこれ本気こわいんだけど。

「度胸あるよなぁ、校内一の不良と名高い美月刄(ミツキ ジン)の机にこれだぜ?俺を笑い殺す気かっつの」
「不良の括りでいくならテメェもそうだろ、つか見てたんなら止めろや」
「やだ俺刺激に飢えてんの」
「…喧嘩持ってきてやる」
「やりぃ!」

そういって雑賀(サイガ)は廊下へと飛び出した。多分雑巾を取りに行ってくれたんだ。
改めて教室を見渡せば他の人間は青い顔をして不自然に目を逸らしている。
きっと俺がブチ切れるとでも思っているんだろ。

(これじゃあ、切れるより先に呆れるっつの)

俺は昨日まで普通だった自分の机を想い溜息を吐いた。
ないだろ、これは。

机の半面には今朝みた馬鹿の写真がデカデカと貼ってあり、あー、写真じゃねぇな写真をコピー機で拡大したやつだ。その横にはなんか見る気も失せる文字の羅列が…
やべぇ見ちまった、気持ちわりぃんだけど。

ほんとなにこれ。
つーかこれ水性だよな?
油性とかだったらマジでぶん殴るんだけど。

「美月ー!事務員さんからシンナー借りて来た」
「油性かよ!?」
「えぇっ!?何急に叫んでんの!こわっ!」
「つーかテメェにシンナー貸せる事務員のが俺はこえぇ」

ありがたいけど、俺はこの学校の行く末が不安だね。


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