そんな俺の甘い考えは次の日には軽く踏みにじられた。
「美月先輩!」
「うわ引くわ」
「えぇっ!?開口一番がそれってどーなんすか?」
「わりぃけど物事オブラートに包むの嫌いなんだわ」
朝っぱらから人の下駄箱に寄り掛かって待つなんて今時ベタすぎるだろ。
きしょいっつの。
「あぁ!じゃあ俺と同じですね!俺もハッキリ言うタイプですし!」
「……だろうね」
じゃなきゃ野郎相手に告ってはこないだろうよ。
「はい!昨日は格好悪いとこ見せちゃったけど、俺、美月先輩が好きなんです、付き合って下さい!!」
「はいはいそりゃどーも、お断りします」
「えぇっ!なんでですか」
むしろ俺はお前の反応に納得がいかねぇよ。
どこら辺にOKを貰える自信があったってんだ。
「なんでもくそもねぇだろ?大体アンタ誰?あぁ、いや、興味ねぇから答えなくていいけど。面識ねぇよな?知らない人間に好かれても嬉しくねぇ、感情の押し付けは迷惑なだけだ、分かったか」
「美月…先輩……」
「それに俺ノーマル、野郎に突っ込む気なんかねぇから」
「あ、それは大丈夫です!突っ込む役目は俺が…っ!」
蹴り上げた感触が思いの外リアルで鳥肌が立ったが、これ以上話しておくと頭が痛くなりそうだったから俺はうずくまる変態を放って自分のクラスへと上がって行った。
あんだけ変態なら使いもんにならなくなった方が世のためってもんだろ?
俺に告ってきただけでも頭イカレてんのに突っ込みたいとか正気じゃねぇ。
変態だな、変態。
春こえぇ。