「見て、美月」
取り出されたグロテスクなモノを、あろうことか奴は俺の頬っぺたに直でくっつけやがったのだ。
(ぜってぇころす…っ!)
「美月があんまり可愛いからこんななったんだよ」
(ん――――っ)
ぐにゅっとした感触が唇を撫でていく。
凄まじい嫌悪感と強制的な快感に俺の脳みそは弾けとんでいた。
イけるんなら
なんだってしても――‥
舌を出しかけたその時、凄まじい音と一緒に屋上の扉が吹き飛んでいく。
「美月先輩!!」
「あらま、美月ってばえろえろだねぇ」
月足と雑賀だ。
もうすでに理性をかなぐり捨てひくひくと身体を震わせるしかできない俺は精一杯雑賀を睨む。
(ぜっっってぇころす)
対する雑賀は悪びれもせずにニヤニヤしながら灰田へと歩み寄ると
「ほら美月、だから言ったじゃないか『気をつけないと知らないよヤられちゃっても』って!」
(誰のせいだと―‥っ)
「可哀相に、そんな汚いもん押し付けられちゃって」
振り上げられた雑賀の足をぼんやりと見ながら、灰田の声にならない悲鳴を聞いた気がした。
まぁ、あいにくとその瞬間には俺は月足の腕の中に引き取られていたのだが。
「先輩!よかった、ほんと、よかったっす」
(全然よくねぇよ)
ぎゅうぎゅう抱きしめられて、もう極限まで高ぶっていた俺はそこで意識を手放してしまったらしい。
「――――先輩っ!」
あわてふためく月足の声が遠くに響く。