意識がぼんやりとし始めて、眠気とは違うそれに俺は漸く気付いた。
「………美月?」
身体が、アツイ。
カッとする熱さとはまるで似つかない燻るような熱。
「―――‥っはぁ」
「どうした?」
「いや、なんでもっ…ねぇから、気にすんな」
無理にでも寝てしまおうと身体をずらしてみるが、服がズレる度にまるで電流が流れるような刺激が走ってしまう。
これは、明らかに――‥
‥――勃ってやがる。
「おい、美月具合わるいんじゃないか?耳まで真っ赤になってるぞ」
「っ、るっさい」
「だけど」
「…っ!!」
灰田の指が耳を撫でた瞬間自分を殺したくなった。
いくらなんでも感じ過ぎだろ、一体ナニがどうなって…
(――‥あぁ、クソ)
「美月、お前」
(雑賀の奴盛りやがったな)
「もしかして勃ってる?」
灰田が何か言ってるけど、正直聞いてる余裕なんて全くなかった。
なぜなら、いよいよ熱は高ぶり、俺は声を押し殺すために灰田の太股に噛み付くしかなかったからだ。
「―――っ!」
「ふ、ぅ」
「美月、くっ、俺を噛みちぎるつもりか?」
「んんっ」
今すぐ扱いてイキたい。
だけども野郎の前でオナニー披露だなんて一生の恥だ。
それこそ正気に戻った時には死んでしまいたくなる。
「美月、美月、美月」
灰田は、息荒く丸まる俺の口をどうにか太股から外すと頭を掻き抱くように抱えた。
おかげで俺は灰田の腰に抱き着くようになってしまう。
「かわいい、美月」
「…………は?」
「俺のひざ枕で勃たせるなんて可愛すぎる」
(ちげぇよ!!)
もはや口を開けば情けない声しか出ない俺は心の中で反論するが、口に出さないものは当然つたわらない。
「美月、美月、美月!」
「…っひ、んんっ」
「やばい、美月、いい?」
何を血迷ったか灰田は俺の頬っぺたに股間の膨らみを押し付けてきた。
つーかちょっと待て!
俺にそんな趣味ねぇよ!
「俺も美月の舐めたい」
(ちょっと待て本気待てくそふざけんな灰田!つーか腰揺らしてんじゃねぇ)
ぐりぐりと押し付けられるそれは制服越しでもわかるほど硬くなってきていて俺の頬を乱暴に押し上げた。
「美月って、淫乱だったんだな、いや悪い意味じゃなくてそのギャップが逆にいい」
(ああぁぁっやばい、蹴り飛ばしてやりたいのに身体中がジンジンするっっ)
「夢みたいだ、ずっとあんたに憧れてたから……やっと気持ちよくしてやれる」
(その繋がりがわかんねぇよ!あぁ、もう!)
灰田のチャックが開けられる音は俺には死刑宣告を受けた気分だった。