「甘い物は好きですか?」
















突然聞かれた謎の問い掛けに私はぽかんとしてしまった。

「別に嫌いじゃないよ?」

チョコレートも、飴も、甘いお菓子はむしろ好きなほうだと言っても良い。



「何で?」

「後で解りますよ」

「今じゃ駄目なの?」

「放課後、教室に誰もいなくなったら話します」


仕方なく私は了承する。でも、そんなこと言われるとそりゃあ、気になっちゃう訳で。
案の定、授業中集中出来やしない。

テツヤくんのばか。



そんなこんなでやっと放課後。気が付けば、私以外誰もいない。

外を見れば蒼かった空が何時の間にか橙に染まってる。そりゃあ教室に誰もいない訳だ。


(っていうかテツヤくん来ないし。部活のミーティング終わったらすぐ来るって言ってたのに)


私が窓の外を見ながら溜め息をつくと、がらりとドアが開ける音がした。


「すみません。お待たせして仕舞いました」

「別に良いよ。部活でしょー?」

「…」

ぶすくれた返事をした私に彼は黙ってしまった。

それに私はイラっとしてしまい、言ってはいけないと思っていたことが一気に口から出てしまった。

「私、テツヤくんの彼女でしょ?部活大変なのも解るけどもうちょっと私との時間を───…むぐっ」


一気に言い終わる前に口の中に何かを入れ込まれる。

それが何なのか、ゆっくり味わい、確かめる。


「いちご味の飴?」

「はい。甘いですか?」

「うん。…でも何で?」

「まだ、キスは恥ずかしいので」

「は?」

「黄瀬くんが言ってました。キスの味はいちご飴の味だって」


つまりまだ唇同士のキスは恥ずかしいから代わりってこと…?

でも、それ…



「騙されてるよ…」

「何がですか?」


騙す涼太くんも悪いがこれに引っ掛かる彼も彼だ。…テツヤくんってたまに天然入ってるんだよね。


私は思いきって彼の服を引っ張り顔を寄せた。
そしてそのまま唇と唇を合わせる。


「…きっ、きすっ…いちごの味、した、でしょ、」


恥ずかしくて彼の顔が見れない。けど、彼は驚いてるって解る。


「はい」


素直な返事に彼がどんな顔してるのか気になって思わず顔をあげると、見たこと無い笑顔を見せてくれてる彼がいた。







(私、まだまだテツヤくんのこと知らないなあ)





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アニメ化おめでとうー(^∀^)

何と無く、
黄瀬に騙される黒子を書きたかったんだ!きっと!




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