毒取扱説明書





「...なにつくってんの?」













「うわぁ!...びっくり...したあー!いきなり現れないでよもーっ」

「いきなりじゃないよ。僕はノックもしたし入る前に声もかけたからね」


これだけのことをしたのに部屋の来客者に気づかなかった理由は簡単だ。
なまえが集中していたからだ。
ではそれほど没頭するほどのものとは一体何を作っていたのか。
それはなまえがいつもより厚手のマスクをしているのを見ればカブトはすぐに何をしているのか解った。


「毒殺したいならそれじゃ無理だよ」

「え!?」

ガチャン
という音とどうじに割れた瓶に入れていた薬品が床に敷いていた絨毯に広がり少し焦げた。

「うわあああ!!!これお気に入りだったのにぃぃい!!!」

思わず焦げたところを素手で触ろうとした所をいつの間にやら近くに来たのだろうカブトの手で阻められる。

「君は自分の作ってた薬品で怪我したいのかな?大体なんで毒物作ってんのに手袋も何もしてない訳?...馬鹿なの?」

「ごめん...ありがと...」


カブトはふぅ、と短く息を吐いてから握っていたなまえの手を話した。
少しの間だけでも触れていた手の温もりを感じてしまいなまえは名残惜しそうに反対の空いている手で掴まれていた付近をぎゅっと握った。


「...てゆーか、なんで毒殺するのにこれじゃ駄目なの?」

「なまえが作ろうとしてたのはクロロホルムだよね?」

見ただけで何を作ろうとしていたのか解るというのは、
流石カブトというべきか。それとも薬剤に関わるものとしては至極当然の知識なのだろうか。


「毒殺でクロロホルムは確に有名だけど、なんで僕が駄目って言ったのか解るかな?」

「なんで?」

即答したなまえに、考える気はないのかと眉間に皺寄せてから手をなまえのマスクに持っていき下ろす。


「じゃあなんでなまえはこれして作ってたの?」

「え...?だってマスクしてないと臭いでヤラレルじゃん」

「それだよ。クロロホルムは臭いがキツイからすぐに気付かれる。忍犬なんていたらそれこそあっという間にバレるよね」

「ああ...なるほど!」

「そうだね...確実に相手を殺したいなら...青酸カリが良いかもしれないね。舐めても害はない。けれど、胃にはいって気体になれば立派な毒になる。」

「へーえ...じゃあ料理にでも混ぜて食べてくれれば一発だね!ありがと!やって見る!」


早速準備を始めようとまずは床に散らばった破片を手を切らないように配慮しながら片付ける。


カブトの存在を無視した行動にカブト自身は面白くないなと感じながらも部屋を出ようと出入り口へと向かう。

そこでひとつ不意に思い出してドアノブに手をかけた手を1回離してなまえの方を振り返る。



「そうだ、忘れてた。」

「なに?」

「君がやろうとしてる方法、駄目だからね」

「は?なにが?」

「だから青酸カリを料理に入れるってやつ。青酸カリはアーモンド臭するし、料理に混ぜるとガスが発生するから気付かれるんじゃないかな?」

「はああああ!?なにそれっ!じゃあどうすればいいの!?」

「さあ?それは自分で考えることでしょ?」


青酸カリが良いんじゃないかって教えたのそっちじゃん!と煩く講義するなまえの声を無視してカブトは今度こそ部屋を出た。













「カブト...そんなにあの子を困らせるのが楽しいのかしら...それとも...人を殺させるのが嫌なのかしら...」

「、大蛇丸様。いらしたんですか」

「どっちでも構わないけど、私は使い物にならない駒は置いておく気はないわよ」

「...わかってますよ。」

「...そうね...取り敢えずは蛇の毒より強いものがあの子だけで作ることができたら、置いておいてあげてもいいわよ」

「...有難うございます。では楽しみに待っていて下さい。きっとなまえは直ぐに作りますから」













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好きな人に人殺しになって欲しくないカブトでした。


薬品(毒?)のことは詳しくわかりません。
なのであっているのかもわかりませんが、そういう情報を聞いて、なんか書きたくなりました。

薬品関係なのでカブトで。
ちょー久しぶり過ぎてわかりません。
でも楽しかったです(笑)