裸眼。(超弾丸論破2/左右田)





「左右田くーん!遊びに来たよー!ねえ、開けてよー!」









夜のモノクマアナウンスも流れて、誰も出歩かないような時間帯。
けれど私は思い切り出歩いてしかも夜だというのに迷惑にもこの時間帯を選び尋ねた相手のコテージのドアをドンドンと響く煩い音を全く意に介さずに叩き続ける。

「そーうーだーくぅーん!約束通り遊びにきたよおおおってばあああ!!」

「うるっせえよ!何時だと思ってんだよ!つーか誰だよ!」


バタン!

と大きな音と共に開くドア。
警戒心が強い割にこう、今みたいに訪問者が誰なのかわからない状態で何をしにきたのかもわからないのにドアを開けるというような無用心な事をしでかすあたりが馬鹿だなあと思う。


「やっほー和一くん。元気ぃー?」

「…元気な訳ねえだろ。つか今何時かわかってんのかお前」

「それよりさあ、誰かもわからないのにそんなすんなりドア開けちゃうって、危なくない?殺されちゃうよ?」



彼の会話をひらりとかわしながらお邪魔しまーすと言い、彼の許可の返事を貰わないうちに部屋の中へとお邪魔する。
左右田はなまえがそういう子だとわかってくれているようで、半ば呆れたという顔をしながらドアを閉める。


「で、なんなんだよお前は。…まさか俺を殺しに来た、とか言わねえよな?」

「あっはは…有り得ないよ。
…だって私、…こんなに和一くんを愛してるのに殺すと思う?」



わざとらしくぎゅーっと彼の腕にしがみつくと、彼は満更でも無さそうな顔をして日時被っている帽子を尚更深くかぶりなおす。
恐らく間抜けな顔を見られない為だろう。



「…でもドア、あんなに簡単に開けないでよ…本当に殺人犯が来たらどうするの?」


彼の疑い深くも無用心なところは好きなところでもあるのだが、コロシアイが起こる恐れのある今、無用心なのは困ったものだ。


「お前なあ…」


今日何度目かもわからない盛大な溜息をついてなまえに絡みつかれていない手の方でなまえの頭を撫でた。


「俺が誰かもわからないのにあんな豪快にドアを開ける訳ねえだろ?」


ぐっと顔を近付けられてドキッとする。
近づいてから初めて、彼が今コンタクトをしていない事実に気付く。


「あんなでかい声で喋ってたら誰だか丸分かりだっつーの」

「…和一くんじゃなくて左右田くんって呼んだのに?」

「寧ろなんでその程度で俺を騙せると思ったんだよ」

珍しく凄く真面目な顔で私に迫ってくる彼に恰好良さを感じる。

「…ねえ!和一くん、」

「何だよ?」

「なんで私が夜に和一くんのとこ来たかわかる?」

「おま…話逸らすなよなぁ…」


ムードが台無しだ!とでもいいたそうにぐっと近付けていた顔を上げる。


「あれ?気付いて無いのかなあ?」

「あ?何に」

「コンタクトして無いときの和一くんって、結構積極的なんだよ」


それは、目が悪いから良く見える程度まで近付くから積極的に見えるだけ、なのだが。


「…なあなまえ。…俺はいつでもお前に対して積極的な積もりなんだけど」

「え!?そうなの!?」

「え…!?そう見えない!?」

「…全然」

「…まじかよ」


がっくりと項垂れる彼の可哀想な背中をよしよしと撫でる。



きっと積極的な積もりなのにそう思われないっていうのは左右田自身がヘタレだという証拠だろう。




「でも私はそーゆー和一くんが好きだよ!」




左右田はもう一度顔を近付けて、耳元で「俺もお前が好きだよ」と囁いた。








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左右田の近眼ネタが書きたくて。

でも書きたかった方向性と違うからまたリベンジしたい。

タイトルの手抜きさよ(笑)
いや、手抜きっつーかたまには安直なのつけたくなっただけです。(言い訳)