覚えてるよ!





「こんにちはー…誰か、いますかー?」






覚えてるよ!






「こんにちは、なまえサン。こんな夜中にこんなとこ、何しに来たんスか?」

「うわあっ!!喜助さんっ」


誰かいないかと自分から呼びかけたが、まさか自分の後ろから声が掛かるとは思ってなくて、相当驚いた。

慌ててバクバクいってる心臓を押さえながら私は続けた。


「その…得に大事な用では無いんですけど、」

「そうっスか。それは良かった。…なんなら、ゆっくりお茶でもしながら、とかどうですか?」

「あ、はい。有難うございます。」


お礼をいって、お邪魔する。…何度も来たことあるところだが、こう 改まってみると緊張する。

暫くして、浦原が二つのお茶を手にしてやってきて、そのうちの一つをなまえのほうに差し出す。


そのお茶を一口頂いてから、深く深呼吸してやっと、今日ここに来た本命を口にする。


「喜助さんっ!…お誕生日、おめでとうございますっ!」

なまえが思い切って言うと、浦原は驚いていた。

「ほう…これは意外っス。」

「え?何で?」

「いやあ、ホラ、今日って大晦日じゃないスか。だからアタシの誕生日覚えてる人なんて殆どいないんスよね。」

だから嬉しいです、と笑顔で続けられた。

その笑顔にドキッとしてしまったのは秘密だが。


「なまえサン。」

「はい…?」

「有難うございます。」

「…はい。」








覚えてるよ!
(だって貴方に想いを寄せてるから)