理解できないしたくない!(ロンパ/狛枝) 理解できないしたくない! 「なまえ、ちょっと頼みがあるんだけど…」 今日も相変わらず天気のいいジャバウォック島。 平和な島かと思われたが、モノクマの出現からそれは一転。コロシアイ生活へと変貌した。 それから最初の悲劇が起こり、学級裁判を体験した。 そんなことがあってから少したって、今日も時間はもうすぐお昼になろうかという時だった。 日向から声をかけられた。 「頼み事?…私に?」 ほとんど初対面に近い状態でこの生活が始まったため、まだあまり日向と会話をしたことが無かったのだが、それが急に頼み事だなんて、と疑問にも思ったが、彼が悪い人というわけでも無さそうなのであまり警戒という言葉は浮かばなかった。 「その…狛枝の事で…なんだけど…」 「狛枝くん…に会ったの?」 「まあ、会った…っていうか、会わざるを得なかったっていうか…」 会話の中に出てきた彼、狛枝はいま、弐大・左右田によって旧館に閉じ込められているため、自ら会いに行かない限りは会えない。 会いに行くことは簡単なのだが、先の学級裁判での狛枝を見てしまってからは一人で彼に会いにいくのは少し抵抗がある。 「その…小泉に、あいつに朝ご飯持ってけって頼まれて…持っていったは持っていったんだけど…」 「うん」 日向の言いずらそうに話される言葉を聞きながら相槌をうつ。 「あいつ、今自力では食べられる状態じゃないんだよ。…だから…その…食べさせてやってくんねえかな?」 「え?」 ご飯持ってったのに、食べられる状態じゃない? それって、大丈夫なの? 不安が過ぎり、それが顔に出ていたらしく、日向が言葉を続ける。 「つっても体調悪いとかじゃねえから。行きたくなかったら行かなくていいし…」 と言われても、気になるもんは気になるので、 「うーん…取り敢えず行ってみるよ」 行くことにした。 それから数分後。 なまえは旧館の十神が殺されたホールのドアと暫く睨めっこしていた。 この先に狛枝がいるのは分かっているのだが、何せ彼とはあの学級裁判以来会っていない。 最初は、穏やかな性格のいい感じの好感の持てる人かと思っていたのだが、違った。 あの学級裁判で見せた彼の一面は怖かった。 未だにこのドアを開けるか迷っているのだが、このままこうしてても仕方がない。 意を決してドアを開けた。 そこには聞いていた通り、拘束された狛枝がいた。 彼以外誰もいない部屋なので当然、ドアを開けた音だけがして、中にいた彼と目があった。 途端、横になっていた彼は嬉しそうに微笑み「こんなボクに、逢いに来てくれたの?」と私に言う。 その笑顔からは、先の学級裁判で感じた恐怖は浮かび上がらなかった。 「日向くんから…ご飯食べさせてやってって頼まれて…」 先程の日向との会話をありのまま話す。 「あはは、日向くんったら酷いよね!食べさせてくれても良いのにね!」 拘束されているとは思えない会話のテンポ。 なんとなく、日向の苦労が伺えた気がした。 「ねえ、」 「はい!?」 ぼーっとしてしまったらしく、狛枝の呼びかけにびくりとしてしまった。 「ボクを殺してみる?」 「はあっ!?」 有り得ない提案に思い切り声を上げてしまった。 いや、彼が言う分には有り得なくはないのかもしれない。 何せ、学級裁判で「ボクを殺しに来るときは相談しにきてね」なんて言ってたくらいだ。 「あははっ!会った時から思ってたけど、面白いよねキミの反応。」 「…からかわないでもらえる?」 思ってたより冷めた声が出て、自分でも少し驚いた。 しかしそんな態度をとったところで彼の調子は変わらない。 「ま、冗談ではないんだけどね。前言った通り…超高校級のみんなが希望を見せてくれるならボクが被害者でも構わない。」 私が彼のこういう思考を理解することはないんだろうなと頭で考える。 「…理解したくもないけど」 彼は何も言わずににやりと、先程とは違いは寒気がするような笑顔をこちらに向けた。 静かになった部屋では時折狛枝の手を拘束している鎖の耳障りな音が響いた。 理解できないしたくない! (ところで、食べさせてはくれないの?) (…やっぱ殺させて貰おうかな) ________________ ヒロインちゃん、動機ゲット(笑) 突発文。 ゲームプレイ中誰か食べさせてやんねーのかよ(笑) と思って。 |