キライ。



私は彼が嫌いだ。
大嫌い!







キライ。





「オイ、そこの暇そうなバカ。こっち来い!」

「馬鹿って…ちゃんと名前呼んでよ!」

「何だお前、名前なんてあったのか」

ケケケと悪魔のような笑い方をする彼。私はコイツが嫌いだ。
嫌いなら関わらないのが一番なのだろうが、部活がある限りそれは無理だ。

「私、仕事有るんだけど…」

「あ?んなもん糞マネにでもやらせとけ」

「いや、私も一応マネージャー…」

「この伝票整理しとけ。金額合うように、な」

この悪魔…自分でお金を勝手に使い回してた癖にその後片付けを私に押し付ける気か!

大体…、
「そーゆー仕事、主務の瀬那くんにやらせれば良いじゃん」

「あいつは今、他のことやってんだよ。じゃあ一時間以内にな」

「はあ!?この量を!?」

抗議する間も与えずあの悪魔はさっさと去っていった。

仕方無く私は一つ溜め息を付いてから作業に取りかかった。
電卓を片手に伝票整理を始める…が、その手はやがて直ぐ止まった。


だって…計算全く合わない!?


あの人ホント何してんの!?
お金はどっから手に入れてんの!?


あーだこーだと悩みながらも何とか辻褄合わせてやっと終わった。


「おーう、終わったか?」

「ええ。お陰様で随分頭使いましたが」

「ケケケ、良いことじゃねーか」


悪魔は私の作業終わりのノートをサッと見てから私の頭を撫でた。

有り得ない行動に私はびっくりしながらも、思わず顔を真っ赤にしてしまった。


「ケケ、面白れぇ反応。」




ああーもう
だから私はコイツのことが
嫌い!大嫌い!

…多分。





キライ。
(で、どうやって金額合わせたんだ?)
(…それは言えません)



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気にせずとことん悪い事してる蛭魔が好きだなあって。