一松
待ち伏せ
帰り道、電信柱の影に一松が潜んでいた…。
怖いよ、何それホラー?とか酷いことを思いつつ、声をかける。
「…一松、どうしてこんな場所にこんな時間に居るの?
もう夜なんだけど…」
「…アオイを迎えに来ちゃダメなの?」
どうやら、迎えに来てくれたらしい。
凄く嬉しいけど…電信柱の影からスッと現れるとマジで怖いから止めて欲しい。という切実な願いを押し込めて、感謝の言葉をつげた。
その言葉に満足そうにニヤリと笑って手を差し出してきたので、その手を取って握りしめる。
そういえば、一松と良く手を繋ぐけど…繋ぐの好きなのかな?とか考えながら、のんびり歩く。
「…猫」
「ねこ?」
突然一松が突然呟いたので、その言葉をオウム返ししてしまった。
…猫が一体どうしたんだろう?
思わず首を傾げながら、一松の顔を凝視する。
「…好き?」
「えっ、好きだけど…」
実は猫より犬派。という余計な一言を飲み込んで、急にどうしたのか聞くと、最近野良猫が赤ちゃんを産んだらしく、一緒に見に行かないか?というお誘いだった。
始終足元を凝視しながら話していた一松だけど、行ってくれるよね?と最後に一言だけ、頬を赤らめながらチラリとコチラを見てきた。
確信犯なのかと疑うほど可愛い一松に、行けないなんて誰が言えようか…否、言えるわけがない!
ということで、マッハで何度も頷いた。
…仔猫ちゃんかぁ、どんな子か楽しみだなー!
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