あおいそら

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居城

青年期

 学校も卒業し、無事?フリーのスナイパーをしているわけですが…今日はスクアーロに呼ばれてヴァリアーの居城にやって来ました。

「う゛お゛ぉい!早かったなァ!!」

「あぁうん、まぁね。
 それで今回の依頼は?」

 うるせー。と思いながら玄関ホールでスクアーロに聞くと、どうやら今回もスクアーロの援護をする簡単な仕事のようだった。

「…了解」

「クコ、この後暇かァ?」

 帰ろうとすると珍しくスクアーロに呼び止められ、客間でオヤツを頂くことになった。
 …なんでも、ルッスーリアが作ったお菓子が余っているから食べていって欲しい。とのこと。
 お菓子…もちろん頂きますが、懸念されるのはココのボスの事。
 まぁ、あのボス様ですから…部屋から出てこないよね!と、一瞬でお菓子に釣られて、お菓子を食べています。うまい。


 美味しいお菓子を頬張っていると、唐突に扉が開いた。
 まぁ、ヴァリアーの誰かだろうと振り返ると…ボス様でした。

「…どうしたァ、ボス」

 疲れたようなスクアーロの声にハッとなって、真っ赤な目と見つめ合っていた視線を逸らして、すっかり冷めている珈琲を飲む。
 私は視線を逸らしたものの…ザンザスの視線は私に向いたままで痛い。

「おい、ボス…?」

「うるせぇ、黙れカス鮫!」

 全く返事をしないボスに痺れを切らして再び声をかけたスクアーロを一蹴した彼は、ゆっくり近づいてきて…私の肩に手を置いた。

「やっと見つけたぜ…レッドコランダム」

 耳元で囁かれた一言に冷や汗が流れたのが分かった。
 子供の時の戯れ言と忘れてくれていたら良かったのだけど…この男は覚えていやがったらしい。
 …が、ここでバレる訳にはいかない。

「えと、人違いでは?」

「…あぁ?
 俺はレッドコランダムと言っただけで、人だとは言ってない」

 やばい、地雷踏み抜いた!自分の顔色が悪くなっているのが分かる!!

「んん?ボスとクコ、知り合いだったのかァ?」

「…クコだな」

「あああああ!
 スクアーロ、テメェ余計な事言いやがって!!」

「クコ、言葉遣いを直せ」

「…え」

 思わずスクアーロに掴みかかろう立ち上がりかけた瞬間、肩に圧が掛かり…不機嫌そうな声が降ってきた。
 思わず私もスクアーロもキョトン。である。

「な、なんで…?」

「オマエは俺の女だ。
 言葉遣いには気をつけて貰わないと困るからな」

「やべぇ…ボスが長文喋ってるぜェ…」

 私とスクアーロが、ぞれぞれ別の意味で驚いていると…ザンザスに無言の圧をかけられた。

「えぇっと…?
 余計なことを言うんじゃねぇ、カス鮫!」

「って、う゛お゛ぉい!!それで直したつもりかァ!?
 全然直ってねぇぞォ…ザンザスも納得したように頷くんじゃねェ!!
 ってか、クコ…女だったのかァ!?」

 今更な事に驚いているスクアーロにイラッとしたようで、ザンザスが近くにあった花瓶をスクアーロに投げた。
 その瞬間、私の肩が自由になったので…素早く愛銃を背負って部屋から飛び出した。

「じゃ、オレはこれで失礼する!」

「…う゛お゛ぉい!!」

 後ろから破壊音とスクアーロの断末魔的なものが聞こえた気がするけど…気のせいと割り切って全力で駆け抜けた!

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