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▼ 日常
- 嗚呼、無情 - 朝起きて、顔を洗ってから「おはよう」と遺影に挨拶する。写真は返事をすることは絶対にないが、それでも父や母に挨拶することは止められそうになかった。
自分と兄以外の一族が死ぬ。…分かっていたこととはいえ、やはり寂しいし悲しい。
でも、一族大虐殺を行った兄の思惑も知っているから…兄を嫌うことなんて出来なかった。
いつか自分を恨んでいると思っているであろう兄に、「恨んでない」と告げよう。そう心に誓っている。
一人頷いて昨日買った総菜パンを囓りながら、来たる日の為に修行すべく家を飛び出した!
▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ ――飛び出したものの、そんな急に強くなるわけもなく…基礎能力の向上の為の筋トレとチャクラコントロールの訓練なんかを一通り練習して、晩ご飯と明日の朝ご飯を買って帰るといういつもと変わらない日常を過ごした。
明日はどこかに遊びに行こうかなー。と考えながら歩いていると…通りかかった公園にポツンと一人でブランコをこいでいる子供が視界に入った。
今ちょうど夕暮れ時で、里がゆっくりとオレンジ色に染まっている。そんな時間だからか、他の子供は家に帰ってしまったのだろうか。と思いながら何気なく見つめていると…目が合った。ナルトだ。
「…あ」
か細い音量で呟いたかと思うと彼は目をそらした。
思わず立ち止まって、俯くナルトを見つめてしまったが…今の自分に出来ることなんて思いつかなかった。
自分も親がおらず、一人暮らしでまだ子供だ。
他人を世話する余裕なんてないし、こっちもナルトとは違った意味で有名人だ。そんな自分が今ナルトと友達になったら…きっと大人達が面倒なことをしてくるだろう。
「すまない、ナルト」そう声には出さず呟いて、俯きながら家路を急いだ。
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