あおいそら

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お食事会ですね

 結局、お食事のお誘いを回避することは出来ず、なぜか連絡先を交換してしまった私は…二人が住むという高級マンションにやって来てしまった。
 どうやったのか知りたくもないが、一ヶ月と待たずに休みが合わされ、お家にお呼ばれしてしまったのだ…。
 セキュリティばっちりのエントランスで、教えてもらったとおりに"1301"と入力する。

「いらっしゃい、クコちゃん!
 今開けるねー!!」

 目の前のモニターに映し出されたのはクダリで、その後ろにはこちらの様子をうかがっているノボリ…それから、彼らのポケモンであろうシャンデラとデンチュラもこちらを見ていた。
 そんな中、明るく言い放ったノボリによって、ピッ。という電子音と共にオートロックが解除された。

「ありがとうございます。
 えっと、確か13階…最上階でしたよね?」

「そうだよ!
 最上階は一部屋しかないから、絶対に迷わないから安心してね!!
 じゃあ、あとで!」

 ブツリ、と切れた画面を少しの間眺めた後、ため息を付いて扉を潜り抜けてエレベーターに乗り込み、13を押した。
 エレベーターの鏡には、高級マンションには少々ふさわしくないような気がするカジュアルと言えば聞こえが良いような服装の私が映り込んでいる。…心なしか自分の目が死んでいる気がするが、気のせいだろうか?

 流石高級、といった感じで揺れの無いエレベーターはあっという間に最上階に辿り着き、チン。というどことなく高級感のある音と共にドアが開いた。
 ドアの向こうには、廊下はなく…目の前にポツンと扉が一つあった。
 その扉の横にある呼び鈴を、ポチッ。と押すと、パタパタという足音の後、ガチャリと開いた。

「いらっしゃい、クコちゃん!」

 2回目のウェルカムを聞きつつ、勢い良く抱きついてきたクダリと、足元に擦り寄ってきたデンチュラに驚きつつも、お邪魔します。と声を出した。

「いらっしゃいまし、クコさん。
 愚弟とデンチュラが失礼いたしましました」

 べりっ。とノボリさんが私からクダリを引き離し、さぁどうぞ。と促してくれたので、玄関で棒立ちから抜け出した。
 私に擦り寄っていたデンチュラはクダリと同じように私から離れ、ノボリと一緒にやって来ていたシャンデラの隣に大人しく移動している。
 ホッと一息つきつつ無駄に広い玄関で靴を脱ぐと、すかさずノボリさんがスリッパをだしてくれたので、それを履いて上がり、長めの廊下を進み、突き当たりの部屋に案内された。
 案内された部屋に行くまでの間に右と左にドアがあったので、そこは二人の私室なのかもしれない。

「何がお好きか分かりませんでしたので、適当に作らせていただきましたが…苦手な物がありましたら、遠慮無く仰って下さいまし」

 横道にそれたことを考えてながら部屋に入ると、今までノボリで隠れていた部屋の全貌が明らかになった。
 これまた無駄に広いリビングの中央にテーブルがポツンと設置されていて、その上には色とりどりの料理が並んでいた。

「ポケモン用のご飯もあるし、クコちゃんのポケモンも一緒に食べよ!」

 部屋の広さや料理に驚いていると、ニコニコと笑うクダリが私のモンスターボールを掴み、放り投げた。
 ボールはくるくると回り、床にぶつかったと同時に光を放ち…私のリザードンが現れた。

「ギャオーン?」

 リザードンはどこか困惑した様子で辺りを見回したのち、てちてち。と私の元へと歩いてきた。
 マジ私のリザードン可愛い。…私よりデカいけど。

「うん、クコちゃんのリザードン…よく手入れがされてるし、よく懐いてるね!」

 勝手に出したことを一切謝る様子のないクダリは、ノボリに睨まれてもどこ吹く風で私に席をすすめて、自身も勝手に椅子に座った。

「申し訳ございません、クコさん。
 さぁ、お料理が冷める前にどうぞ召し上がって下さいまし」

 眉を下げたノボリはグラスにドリンクを注いだ後、空いた席に腰掛けて私に食事を勧めてきた。…その時すでにクダリは目の前の料理を頬張っていて、 私の隣で不安げにしていたリザードンは、彼らのポケモンのデンチュラとシャンデラに誘われ、ポケモン用だと思われる低めのテーブルに並べられたご飯を食べていたので、私も遠慮せずに手を付けることにした。
 

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