あおいそら

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彼の人の食事事情

 御想像通り、半兵衛と三成にお城に連れて行かれて三成付きの女中として働いています…。
 とはいっても、佐和山城に半兵衛が長くいる事もなく…数日で城を去って行ったけれど。

 ここで一つ、良く勘違いしている方がいらっしゃるので説明させてほしい。
 城主=城で暮らしている。というイメージがあるけれど…城で生活するのは城攻めにあって籠城する時だけで、実際は城の近くの平屋に住んでいるのである。
 配下も城の近くの家に住んでいて…城に近いほど位とかそういうのが高い、という分かりやすい設計になっている。

 ということで、現在三成の家に住み込みで働いている。というのが一番分かりやすい表現かもしれない。
 もちろん私以外の女中さんや、城などを守っている兵士さんも寝泊まりしている。

「三成様、朝餉の時間でございます」

 いい加減慣れてきた台詞を吐きながら丁寧に障子を開くと、こっちをチラリと見ただけで筆を持つ手を休めずにサラサラと何かを紙に書きつけている。
 …これはご飯を食べないパターンか。そう思うと勝手に溜息が出てしまう。

「…なんだ」

「いえ、いい加減飯ぐらい食べろよ。と思っただけでございます」

 半兵衛との別れ際に、ちゃんとご飯食べさせるように。と何度も念を押すように言われてしまったので、毎回こうやって毒づきながらも食べるように促す。
 もちろん、半兵衛の名前を出したりと手を変え、品を変えて食べさせている。

「三成様ご自身のことですから、三成様が一番良くお分かりだとは重々承知しておりますが…半兵衛様に三成様が食事をシッカリと取らせるようにと申しつけられておりますゆえ、食べて頂かないとワタクシも困ります。
 もし食べて頂けないのであれば…心苦しいですが半兵衛様にお伝えしなくてはなりませぬ」

 若干の時代がかった?喋りをしながら、今回も三成を言いくるめようと長々と話すとイラついた表情で三成がこっちを見ていた。
 なんだろう?と首をかしげると、三成が口を開いた。

「前から思っていたが、なんだその物言いは。
 いつも通りに話せ」

 いつもより少し早い口調で言い切った三成は、いつの間にか私の持ってきた膳を引きよせて食べている。
 自由な三成に少し驚いたけれど、楽な話し方でも良いと許可を頂けたので…良しとしよう。


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